卑怯卑劣は褒め言葉だねジャックさん!
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。今、その隙を狙い澄ましていた秘剣が煌めく。
「無明――」
ベオウルフを愛刀の間合いに捉え、忽然と姿を現す天才剣士。魔剣使い沖田総司。それでも――ベオウルフは驚愕しながらも反応していた。フルンディングを楯にした体勢のままその刺突を防がんとしたのだ。
しかしそれは悪手である。事象飽和現象を纏うその剣先は防御不能、剣先に触れたモノを『破壊』するのではなく『消滅』させる人智の極限。
「――三段突きッ!」
「ぐォッ、」
魔法の域にすら踏み込む対人魔剣は、宝具である彼の魔剣フルンディングの刀身をも刳り貫いたように貫通した。そしてそのまま強固な天性の肉体を捉え、霊核である心臓を破壊してのける。
確実に仕留めた。如何なベオウルフとはいえ、死は確定したものとして消滅の末路を決定付けられる。
しかし、ただでは終わらない。霊核を破壊されて尚一矢報いんと損傷した魔剣を捨て、ベオウルフは拳を一閃する。沖田に残心の抜かりはない、技巧も何もないその拳?を見てから躱す。一足跳びに真横に跳んだ沖田は死に体の英雄を斬らんと刃を翻し、
「コ、フ……ッ!」
口を抑え、吐血する。俺は分かっていたよと吐き捨てて、隙を晒した沖田に拳を振りかぶるベオウルフに銃弾を叩き込む。背中、振り上げた腕。ベオウルフは苦笑して、力の抜けた拳を下ろした。
「チッ、容赦のねぇ奴だなテメェ……」
「生憎だったな、ベオウルフ。生き汚い手合いには慣れっこでね」
「そうらしいな。心臓ブチ抜きゃちったぁ油断すると思ったんだがよ……ったく、してやられたぜ」
金髪を掻き毟り、ああ、やってらんねぇと悪態を吐いてベオウルフは消滅した。その間際に、今度会ったら取り敢えず殴ってやると笑いながら。唐突な奇襲で斃されたにも関わらず、全く後腐れなく。
俺は暫しその様を見届け、沖田を助け起こす。また吐いたなお前、全く気の抜けない奴だ。そう愚痴ると沖田はバツが悪そうに目を逸らした。休んでろとだけ告げ、俺は目的のサーヴァントの元に寄る。
「今自由にしてやる」
手足を縛る鎖を黒銃剣で発砲して砕く。
華奢な少女だ。十代半ばの年齢で現界している沖田より、更に幼く見える。緋色の少女は手足の具合を確かめながら立ち上がった。
「――ありがとうございます。まさかあの恐るべき竜殺しを、奇襲したとはいえ一方的に斃してしまわれるなんて……」
「まともにやれば、春と俺だけだと百回やって十勝ちを拾えたら充分な手合いだからな。初見殺しのパターンで嵌め殺させてもらった」
驚くやら感心するやら、目を真ん丸とさせる様は、およそ英雄の称号とは無縁のものに見えた。
しかし外見や第一印象で決めつけるほど、サーヴァントに対して迂闊なものもない。俺は名乗り、手を
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