雪庇の毛布
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」
気分を害したという風ではなく、にやけた面での言葉。心底自分こそ格上だと信じてる表情だ。
――ちなみにエデンはまだ知らないことだが、朧が本気を出せば懐に隠した護身用十手で術の発動前に全員ボコボコに出来る。最初から勝負になっていないことに気付いていない彼を憐れむのは天馬と悟のみだ。エイジは憐れみをよく理解できないのでとりあえず成り行きを見ている。
「無敵病の連中は精神的には無敵だ。そして同じ病気が集まって数が出来るとそこに共同幻想が生まれる。すなわち俺達ツエーってヤツだな」
「そりゃまた。治すにはどうすればいいの?」
「暴力教師に指導してもらえばいいんじゃねーの?」
興味なさそうに情報収集を続ける悟だが、いい加減移動教室に間に合わない時間になってきた。
と、無敵病患者の一人がお調子者のように声をあげた。
「よーし、こうしよう。マイニング・ユア・ブラッドマイン!」
「ローディング・マイブラッド、ユアーズ!」
いきなり何やら詠唱したと思ったら、特組の周囲を囲むように大量のシャボンの泡のようなものが現れ、浮遊し始めた。
「こいつは当たると痛いぜ?まったくグダグダ言い訳しちゃってさ」
「ねぇ、さっさとやっちゃおうよ〜!」
「まぁ待て。ほら特組諸君!迎撃しないと痛くなるぞ?これはいわゆる正当防衛ってやつさ。ルールを盾にビビって動けない君たちに口実を与えてやってるんだ」
「へっ、そういう手があったな!俺らも用意だ!!」
次々に無敵病患者が詠唱し、ある者は全身から光るオーラを、ある者は流体を用いた武器や鎧を、またある者は自分の数を増やし始める。それを特組全員が覚めた目で見ていた。
「朧、お前は手ぇ出すなよ」
「天馬こそ、天掛流など間違っても使うでないぞ。このような木端連中、使われた流派が泣くわ」
「エイジ、八千夜ちゃんとあざねちゃんを守ったげてね」
「自分をカウントし忘れてるよ、エデン」
「まぁやっちーが本気出すと色々洒落になんないからねぇ」
「ほんじゃー美音たちも一肌脱ぎますか!」
「メイド流近接盆術なら扱えますのであざねのことはご心配なく」
「……あざね、わたくしその珍妙な護身術を初めて耳にし
たのですが」
ここに至ってやっと、無敵病患者に変化が現れた。
それは絶対の自信と力への妄信が齎す自己顕示欲を、特組が満たしてくれる行動をとらなかったことに対する一方的な不満である。相手にされていないような態度が彼らの癪に障ったのだ。
リーダー格でさっきから天馬に絡んでいた男は、眉間にしわを寄せてオーラを纏ったまま走り出す。
「無視してんじゃねぇよッ!!この――」
「『駿馬千里駆』」
「――かぶっ!?」
既に詠唱を終えていた天馬の拳
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