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女王への愛
第三章

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「そのこと有り難く思います」
「勿体なきお言葉。では」
「はい、芝居をですね」
「行いましょう」 
 こうしてだった、クレオパトラは短剣を出して自害を試みたがそこに間に合ったローマの兵達に取り押さえられた。そこからクレオパトラは早まったといいオクタヴィアヌスにやはり行きたいと言ってきた。
 その話を聞いてだ、オクタヴィアヌスはほっとした顔で述べた。
「もうこれで安心だな」
「それではですね」
「女王をローマに連れて行く準備に入ろう」
「それでは」
 アグリッパが応えた、そしてだった。
 クレオパトラにアントニウスの埋葬をさせることも許した、ここでオクタヴィアヌスはアレクサンドリアの海を見つつ呟いた。その青い海を。
「カエサル様はここでポンペイウス殿の死を知ったな」
「そうでしたね」
「そして私はアントニウス殿の死を知った」
「これが因果というものですね」
「カエサル様はポンペイウス殿の死に涙し私は想う」
 アントニウスのことをとだ、様々なことがあった彼のことを。そしてだった。
 アントニウスの冥福も祈った、そこでカルミオンから彼自身に申し出があった。
「女王に果物をか」
「差し入れたいのですが宜しいでしょうか」
 カルミオンはアントニウスの前に畏まって申し出ていた。
「その様にして」
「そなたの忠義見事だ」
 オクタヴィアヌスは今度は彼女のそれに感じ入って話した。
「ではだ、その忠義を果たすのだ」
「それでは」
「持って行くがいい、そして最後の最後まで忠義を果たせ」
「それでは」
 こうしてだった、カルミオンは果物籠を持ってそのうえでクレオパトラの方に向かった。そうしてだった。
 女王の下に参上すると果物籠を差し出して言った。
「こちらに」
「そうですか、では」
「これよりですね」
「女王としての誇りを守ります」
 クレオパトラは自ら果物籠を受け取ってだった、そうして籠の中にあるものに胸を差し出した。その後でカルミオンもそれを手に取った。
 オクタヴィアヌスはカルミオンが女王の場所から戻ってこないことに違和感を感じた、それでまさかと思ってだった。
 アグリッパ達に席を立って言った。
「すぐに女王のところに向かおう」
「まさか」
「おそらくそのまさかだ」
 こうアグリッパに答えた。
「だからだ」
「女王のところにですか」
「向かおう」
 こう言ってだ、オクタヴィアヌスはアグリッパ達を連れて女王のいる場所に向かった。そこは王宮の一室だったが。
 クレオパトラは目を閉じて見事な絨毯の上に横たわっていた、その横には侍女のカルミオンもいた。彼女も横たわっていた。
 アグリッパ達はすぐにクレオパトラとカルミオンに駆け寄った、アグリッパは女王の身体を抱いて息を確認したが。
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