255部分:その吹く風その十二
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その吹く風その十二
「それでもうすぐ夏休みだけれど」
「皆気をつけてね」
江夏先生と田淵先生はそれぞれ生徒達に話す。
「夏休みだからといってハメを外し過ぎないように」
「くれぐれもね」
「大丈夫ですよ」
「そうですよ」
しかし生徒達はいつもの能天気なノリで先生達に言葉を返すのだった。
「俺達に限って」
「そうそう。絶対にね」
「あんた達が一番心配なのよ」
「そうよ」
しかし先生達はこう彼等に言い返すのだった。
「普段からそんなにいい加減だから」
「飲み過ぎや食べ過ぎで身体を壊さないようにね」
「小学生か?俺等って」
野本は二人の先生の言葉に思わずこう言った。
「幾ら何でもそこまではよ」
「あと勉強もちゃんとしておくのよ」
「いいわね」
「テスト終わったばっかりなのに」
皆とりあえずほっとしている時だったのだ。そこで言われて不機嫌さを隠せなかった。
しかしその彼等に対して二人の先生達はさらに言うのだった。
「あんた達とにかく普段の生活が滅茶苦茶だから」
「お酒の匂いさせて学校来るのだけは止めなさい」
「ちぇっ、濡れ衣なのにな」
「ねえ」
皆そのことは平然としらばっくれる。
「俺達みたいな品行方正な優等生集団捕まえてな」
「ちょっと酷いんじゃないんですか?」
「ビールの匂いぷんぷんさせておいてよく言えるわね」
江夏先生は負けてはいなかった。
「昨日は一体何リットル飲んだのかしら」
「いえ、全然」
問われた茜が平気な顔で首を横に振った。
「飲んでませんよ」
「そういうのを大嘘って言うのはわかってるかしら」
「麦の飲み物飲んでただけです」
こう言い繕う。
「ビールなんて全然飲んでませんよ」
「そのうち痛風になって泣き見るわよ」
江夏先生もかなりきつい。
「死ぬ程痛いらしいからね、あれは」
「何か今日は言うこと滅茶苦茶きつくね?」
「っていうかビール飲んだらそんな病気になるのかよ」
中には痛風を知らない面々もいた。
「日本酒で糖尿は知ってたけれどよ」
「じゃあ昔のヨーロッパ人は痛風だらけだったんだな」
「今もドイツじゃそうなんじゃねえのか?」
こんな話をしていた。とにかく酒のことはもう全く隠していなかった。
「とにかくよ」
「生活はきちんとしなさい」
先生達はさらに言う。
「いいわね。夏休みこそね」
「当然勉強もね」
「そういえば夏休みの宿題もあったよな」
野茂が言った。
「っていうか絶対に出るよな」
「当たり前よ」
田淵先生が野茂に対して述べてきた。
「ないわけないでしょ」
「やっぱりそうかよ」
野茂だけでなく皆が今の先生の言葉に苦い顔になった。
「なくならねえな、そういうのは」
「全くだな」
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