第二章
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「日々そちらに励んでいてな」
「そうだな、気が違う」
李も玉鳳を見て微笑んで述べた。
「まだ子供だが相当な武芸者だ、だが」
「だが?」
「私は人相見も出来るが」
玉鳳のその顔を見ての言葉だ。
「良縁に恵まれそうだな」
「そうなのか」
「うむ、ただそれまでにだ」
その良縁を得るまでにというのだ。
「波乱万丈のことになりそうだな」
「波乱万丈か」
「そうだ、そして君もだ」
李は今度は玉鳳の父にも言った。
「気をつけることだ」
「どうしたのだ」
「剣難の相が出ている」
彼のその顔を見ての言葉だ。
「何か揉めているか」
「揉めていないが私を憎むな」
「そうした者がいるか」
「随分剣呑な人物だ」
「そうか、ではな」
「その者にか」
「気をつけてだ」
そうしてというのだ。
「生きていくことだ」
「わかった、剣難だな」
「それをな」
まさにと言ってだ、それでだった。
李は屋敷に数日留まってから旅に戻った、その時にまた玉鳳に言った。
「君は相当な武芸の持ち主だからな」
「父上に何かあるのなら」
「君が護るといい」
「はい、それでは」
玉鳳は李に確かな顔で答えた、左手を拳にしそれを右手で包み己の胸の前に置いて。
「私がです」
「そうすることだ、しかし」
「私の人生は」
「色々ありそうだ、だが」
「最後はですね」
「良縁に恵まれる」
このことは絶対だというのだ。
「安心することだ、君は運気自体はいい」
「波乱万丈でも」
「そして心も確かな様だ」
玉鳳の目を見ての言葉だ、その実によく澄んだ目を。
「だからだ」
「それで、ですか」
「何があっても挫けないことだ」
こうも言うのだった。
「いいな、そしてだ」
「生きていくことですね」
「そうすることだ」
玉鳳にこう言ってだった、李は旅に戻った。そして彼の言葉は当たり。
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