第一章
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守られた僧侶達
昔の話である、若い僧侶と年老いた僧侶二人の僧侶の二人が修行の旅をしていた。その時夜になり二人は宿を探した。
そしてある寺を見付けたが人の気配がなかった、それで若い僧はこう言った。
「人気がしないので」
「廃寺の様だな」
「そうですね、かなり古いですし」
「中に入るのは危ないか」
「賊が寝床にしているか」
「鬼や魔物がいてもか」
「不思議ではないですね」
こう年老いた僧侶に話した。
「これは」
「そうだな、しかしな」
老僧は若い僧に難しい顔で答えた。
「そうは言ってもだ」
「他にこの近くには」
「宿になれそうな場所がない」
だからだというのだ。
「ここは中に何がいようとも」
「まずはですね」
「中に入って確かめてだ」
そのうえでというのだ。
「一夜の宿にしよう」
「そうすべきですか」
「若しここに泊まることが出来なければ」
老僧は若い僧に困った顔で述べた。
「拙僧達は今夜はだ」
「野宿ですね」
「夜露を受けることになる」
外で寝ると、というのだ。
「雨が降るかも知れない」
「それは」
この旅でも何度か経験したことだ、正直いいことではない。それで若い僧も老僧に困惑した顔で答えた、
「拙僧もです」
「遠慮したいな」
「野宿は」
「ならだ」
「中を調べて」
「そのうえでだ」
まさにというのだ。
「泊まろう」
「それでは」
仕方ないと頷いてだ、若い僧は老僧の言葉に頷いて二人で古寺に入った、寺は若い僧の予想通りに廃寺であり。
人の気配はなかった、それで若い僧は言った。
「では」
「人がいないならな」
「入っても大丈夫ですね」
「そうだな、しかしな」
それでもと言う老僧だった。
「ここは用心の為にだ」
「どうされますか」
「本堂の中で寝るか」
「本堂ですか」
「ここは確かに廃寺だが」
老僧もこのことを確かめた、そのうえでの言葉だ。
「だが本堂は立派でだ」
「そういえばそうでしたね」
若い僧も本堂を見ていたのでそれは言えた。
「確かに」
「そうだったな」
「よい仏像が多くありました」
「特に毘沙門天の像がよかったな」
「そうでしたね、では」
「本堂に入ってだ」
そのうえでというのだ。
「休もう」
「それでは」
「うむ、しかしだ」
「しかし?」
「何故あれだけ見事な仏像を揃えた寺が廃寺になっているのか」
老僧はこのことについては首を傾げさせて言った。
「そこが拙僧にはわからない」
「そうですね、確かにです」
「いい仏像が多くあるな」
「造り自体も立派で」
「中々以上の寺だと思うが」
それでもというのだ。
「どうしてであろうな」
「そこが気にな
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