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車とバイク
第八章

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「そうでしょ」
「現実はそこね」
「そう、そういう意味でも兵器とかはね」
「興味ないのね」
「自動車や重機の方がいいじゃない」 
 こう言ってだ、清里愛はそちらはいいとした。だがサングラスとマスクを装着して大地の店に行くとだった。
 大地は軍事用オートバイの資料を出して清里愛に笑って言ってきた。
「中々面白いんだよね」
「そうかしら」
「あれっ、軍隊のことは」
「興味ないから」
 大地にはそっけなく返した。
「別にいいわよ」
「そうなんだ」
「そう、だからね」
「この資料はいいんだ」
「読まないわ、出してくれて悪いけれど」
 それでもというのだ。
「いいわ」
「じゃあなおすね」
「ええ、けれどジープはいいわね」
 清里愛はこれはよしとした。
「あれはね」
「軍用車両はいいんだ」
「デザインがいいから」
 だからだというのだ。
「好きなのよ」
「あれも兵器だけれど」
「外でも使えるからいいのよ、私もジープ操縦したいし」
「そこまで好きなんだ」
「ジープはね、まあとにかく兵器とか軍事用とかは置いておいて」
 その話はいいとして、というのだ。
「お父さんもお母さんも別にオートバイ嫌いじゃないみたいなの」
「そうなんだ」
「ええ、この前テレビ白バイ二人で観ていて恰好いいとか言ってたし」
「白バイの格好よさがわかるのはいいね」
「やっぱり車会社のお家でも」
「別にいいと思うよ」
「じゃあ」
「一見さん止める?」
「そうするわ」
 こう言ってだ、清里愛はサングラスとマスクを取った。そうしてそのうえで大地に対して言うのだった。
「とりあえず軍事用はいいから」
「うん、それでだね」
「ドイツのメーカーのこと知りたいけれど」
「その話をだね」
「聞かせてくれるかしら」
「いいよ、じゃあ本も出して説明するね」
「それじゃあね」
 清里愛は笑顔で応えた、そしてだった。
 この日はドイツのオートバイのことを聞いた、そうして閉店時間になると資料を借りた。何時しか清里愛は車の話だけでなくオートバイの話もする様にだった。だが周りもそれでどうかと言わなかった。オートバイも好きなのねと言うだけだった。
 このことからだ、清里愛は言った。
「結局私の杞憂だったね」
「そんなのそれで?じゃない」
「そうね、本当にどうでもいい」
「悪いこともしていないし」
 それでというのだ。
「別にね」
「何でもないお話で」
「そう、片山さんが言う通りね」
「杞憂ね」
「そうだったんだよ」
 大地はやれやれという顔で清里愛に話した、そしてこの日も彼女にオートバイのことを話すのだった。


車とバイク   完


                 2018・11・18
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