第六章
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「わかったわね」
「わかったよ、じゃあまたいらして下さい」
「そうさせてもらうわ」
強引に話をまとめて帰る清里愛だった、そして学校では何気ない風を装うのだがそれでも数日後まただった。
清里愛は大地の店に来た、今度はホッケーマスクを被って来た。
「チェーンソー出さないでね」
「そんなの出したら捕まるでしょ」
完全に危険物所持法違反である。
「お父さんに護身用のスタンガン、お母さんに二段式特殊警棒持たせてもらってるけれど」
「警棒で人殴ったら威力高いよ」
「だから変態さんにしか使わないことにしているわ」
まだ使っていない、実は。
「安心しなさい」
「それはいいことだね」
「そうよ、とにかくね」
「一見さんだね」
「また来たわ」
一見さんが再来店したというのだ。
「それで今度はハーレーのことを聞きに来たのよ」
「ハーレーの?」
「詳しい本とかない?」
「昔からの車体のカタログがあるよ」
大地は実際にそのカタログを出して清里愛に差し出した。
「これね」
「よかったら貸して」
「うん、また来店した時に返してね」
「そうさせてもらうわ」
清里愛も素直に返事をした。
「勉強させてもらってからね」
「それじゃあね、ただね」
「ただ。今度は何よ」
「いや、何となくわかるけれど」
それでもとだ、大地は清里愛に問うた。
「どうして一見さんなのかな」
「何が言いたいのかよ」
「だから一見さんって言ってるのかな」
そうして来店して来る理由は何故かというのだ。
「おかしな変装までして」
「車造ってる会社の社員さんの娘さんがオートバイのところに顔出せないでしょ」
だからだと言う清里愛だった。
「かく言うあんたは車のところに顔出せる?」
「ぼくは平気だよ」
大地はそうだった。
「お家の仕事だしバイク自体大好きだけれど」
「いいの」
「だってうちに車あるし」
他ならぬそれがというのだ。
「お父さんとお母さんも乗って仕事してるし」
「だからいいの」
「僕はね」
「そうなの」
「というか一見さんがこだわり過ぎなんじゃないかな」
「だから当然でしょ」
何とか自分を清里愛ではないとしながら言うのだった。
「車会社だっていうのに」
「じゃあバイク乗ったらいけないの」
「車大好きだし」
まだ免許は持っていないがだ。
「詳しいしお部屋にはミニカー一杯あるのよ」
「そこまで好きなんだ」
「子供の頃から集めてるね」
そして大事にしているのだ。
「チョロQだってあるし」
「まだあるんだ」
「あるのよ、とにかくね」
「一見さんは車大好きで」
「周りの娘達もそう思ってくれてるから」
「他のものには浮気しないっていうんだね」
「そうよ、私は車に生きてね」
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