第四章
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「うちでも大喜びだよ」
「そんなのあっさり買える人店に来ればいいな」
「何百万の新型やサイドカーな」
「そうなれば御前の家も大助かりだな」
「親父さんも大喜びだな」
「実際親父もバイク売りたいんだよね」
大地は友人達に少し寂しい笑顔になって話した。
「元々バイクのお店だしね」
「それが最近売れなくてか」
「それでか」
「自転車売ってるんだな」
「そっちなんだな」
「僕が生まれるずっと前から自転車も売ってるけれど」
これがというのだ。
「今じゃバイクは滅多に売れなくて」
「自転車ばかり売れてる」
「そんな状況か」
「今はそうか」
「まあ自転車は相当売れて修理のお話も多いしね」
それで収入はあるがというのだ。
「バイクが売れないのはね」
「困るか」
「どうにも」
「本当に今バイク売れないんだな」
「五十CCも昔みたいに売れなくなったし」
こちらもというのだ。
「皆どんどんバイク買って欲しいね」
「昔みたいに」
「そうなって欲しいか」
「自転車だけじゃなくて」
「本当にね」
こう言ってだ、大地は友人達とさらに話していった。清里愛は彼の話から新型のオートバイやサイドカーに心が動いた。
自分の友人達と話している時は何でもない顔を装った、心の動きは誤魔化せなかった。それでだった。
所属しているバレー部の部活の後で同じクラスということで連絡先ということで知っている彼の家即ちオートバイ屋にこっそり向かった。
大地はこの日店をそろそろ閉めようとしていた、それでガレージを下ろそうと店の入り口に向かおうとしたところでだった。
ガラスの自動ドア、店の入り口の方から客が入った。その客は。
サングラスにマスク、そして阪神帽という恰好だった。だがその制服と髪型で誰かわかってだった。彼はその客に尋ねた。
「片山さん?」
「ち、違うわよ」
清里愛は呼ばれて慌てて否定した、身振りも交えて。
「私は」
「声同じだけれど」
「き、気のせいよ」
清里愛は両手を自分の身体の前で大きく振って否定した。
「私はただの一見さんよ」
「いや、声とヘアスタイルそのままだから」
あくまで冷静に返す大地だった。
「制服だって」
「たまたま全部同じなだけよ」
「そんなことないよね」
「だから只の一見さんよ」
「じゃあその一見さんが何しに来たの?」
「新型のオートバイ入荷したのよね」
清里愛はサングラスとマスクを外さないまま尋ねた。
「そう聞いたけれど」
「ああ、その話ね」
大地も否定せずに返した。
「聞いてたんだ」
「それでどんなのなの?」
「これだけれど」
大地は店の中の雛壇のところに置かれているかなり大型の一〇〇〇CCはありそうなオートバイを指し示して清里愛に話し
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