第三章
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しかしだ、たまたまそこを通りがかった九十位の尼僧がたまたま今裁判官役の隆夫が死刑と言ったのを見てこう叫んだ。
「子供が死刑を言うなんて!」
「何、あのお婆さん」
「お坊さんだよね、あのお婆さん」
「女の人って尼さんっていうんだよね」
「尼さんが叫んでるわね」
「どうしたのかしら」
「死刑反対、死刑反対!」
尼僧はさらに叫んだ。
「とんでもないことを言う子達ね!」
「えっ、けれどね」
「悪いことをしたらね」
「誰だって罰を受けるし」
「人を殺したりすれば」
その様な悪いことをすればとだ、子供達は言った。
「死刑になって当然なんじゃ」
「人を殺したりしたらね」
「死刑になるのも当然だよ」
「人を殺した人がずっと生きてるっておかしくない?」
「そうした人は死刑にしないとね」
駄目だとだ、五人共尼僧に言った。
「お婆さんそう思わないの?」
「人を殺したら死刑になるのは当然だよ」
「じゃあ殺された人は殺され損?」
「酷いわよね、それって」
「殺した人がずっと生きてるっておかしいわよ」
「そ、それは」
子供達の素朴な質問にだ、尼僧は戸惑った。
それで返事が出来ないでその場を逃げる様に立ち去った。翔太は尼僧がいなくなってから四人にあらためて尋ねた。
「人を殺したらね」
「死刑になって当たり前じゃない?」
「死刑にしないと駄目だよ」
「人を殺すって凄く悪いことなのに」
「何で死刑にしたら駄目なの?」
四人も翔太に答えた。
「あのお婆さん変なこと言うわね」
「何考えてるのかしら」
「死刑反対とか叫んでたけれど」
「人を殺しても死刑にならないなんてね」
「どう考えてもおかしいよ」
五人共尼僧の言っていることがわからなかった、だがそうした話をすることにも飽きてそうしてだった。
五人はまた遊びはじめた、今度の遊びはというと。
「鬼ごっこしようか」
「そうだね、裁判ごっこも飽きたし」
「今度はその遊びしよう」
「じゃあジャンケンしてね」
「鬼を決めましょう」
五人で話してだった、それでジャンケンをしてから鬼ごっこをはじめた。もうその頃には尼僧のことは忘れてしまっていた。
子供の裁判 完
2018・11・12
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