第一章
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三箭
薛仁貴は唐の太宗李世民に従って活躍していた、当初は農民だったが武人を志して唐の軍に入ったのだ。
彼は唐が遼東にまで進出していた高句麗を攻める時に頭角を現した。この時太宗これは廟号であり普通に皇帝、その尊称として万歳爺と呼ばれていた彼は難しい顔になっていた。
「高句麗は強いな」
「はい、かつて隋を退けています」
「煬帝はそこから国を崩しています」
「そう考えるとです」
「油断の出来ない相手です」
「その通りだ、だからだ」
太宗は出陣してから周りにいる将軍達に述べた。
「万全を期して攻めたい」
「左様ですね」
「迂闊に攻めず」
「あの国の兵達に向かいましょう」
「この度の遼東攻めにおいても」
「そうしていく」
こう言ってだ、太宗は大軍を以て遼東を攻めていた。この時にだ。
薛は白づくめの身なりで高句麗の軍勢に切り込み多くの敵を倒して蹴散らした、太宗はその話を聞いて言った。
「そうか、その薛と言う者だが」
「これからはですね」
「あのものを重く用いられますね」
「才ある者を用いる」
確かな顔でだ、太宗は将軍達に述べた。
「それが朕だからな、だからだ」
「はい、あの者を用いて」
「そうしてですね」
「軍を率いてもらいますか」
「そうする、両党を得たことも嬉しいが」
それ以上にと言うのだった。
「あの者を得た方が嬉しい」
「左様ですか」
「心からそう思っている」
こう言ってだ、それでだった。
太宗は薛を将軍の一人として重く用いる様になった、彼はその期待に応えて勇敢に戦った。やがて太宗が崩御し彼の子である高宗が次の皇帝となった。
唐もまた北の遊牧民達に手を焼いていた、それで唐は北の突厥に対して何かと対策を講じていたがその一環としてだった。
安東都護府を置くことにした、その都護に誰を置くかとなると。
廷臣の多くが高宗に言った。
「薛仁貴殿が宜しいかと」
「あの方が一番相応しいです」
「あの方を都護にすべきです」
「あの方にお任せしましょう」
「わかった」
高宗も頷いてだ、薛を都護に任じた。そうして突厥にあたらせた。
薛は高宗の期待に応え突厥と果敢に戦って防いだ、その中でだった。
彼は天山において突厥の軍勢と戦っていた、この時だ。
突厥の軍勢を見てだ、唐の兵達は唸っていた。
「今度の突厥軍は強いぞ」
「相当な強さだぞ」
「奴等は只でさえ強いが」
「特に将がいい」
「あの連中が出て来たのか」
見れば突厥の優れた将が出ていたがそれが三人もいたのだ。
「一人でも厄介だというのに」
「一度に三人も出ているぞ」
「この戦いは大変だ」
「負けるかも知れないな」
「今回はな」
こうしたことを話していた
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