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ある晴れた日に
249部分:そよ吹く風その六
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そよ吹く風その六

「お互いなのよね」
「っていうとクラスの連中全員がか」
「音橋君だってそうじゃない」
 今度は正道もだといのだ。
「皆のことわかってるわよね」
「わかりやすい奴等ばかりだしな」 
 彼はこう答えてそうだと言ったのだった。
「何かな。話をするまでもなくな」
「わかるのね」
「悪い奴等じゃないさ」
 クラス全部をひっくるめての言葉だった。
「むしろな。いい奴等ばかりだよな」
「口の悪い子はいるけれどね」
「野本とか伊藤とかな」
 真っ先に挙がったのがこの二人だった。
「特に伊藤な。昔からあんな喋り方だったのかよ」
「ええ、そうよ」
 微笑んで正道に答えてきた。
「言葉遣いはね。本当にあのままなの」
「それで性格もかよ」
「言葉遣いがあんなのだから色々と誤解されるけれど」
「あれで色々と気がついて気遣うからな」
「それも昔からなの」
 こうした意味では全く変わっていない春華である。
「ずっとね。言葉と行動が逆なの」
「いいことをする場合はだよな」
「照れ性なの、春華って」
 実はそうだというのだった。
「あれでね。本当はね」
「素顔は案外ってやつなんだな」
「それ。皆わかってくれたのね」
「もう皆四月でわかってたと思うぜ」
 こう未晴に答えた。
「だからな。あいつもわかり易いからな」
「だからなのね」
「ああ、何だかんだで皆あいつ嫌ってないだろ」
「それが嬉しいの」
 実際にその顔を微笑ませるのだった。
「それがね。春華が皆に受け入れてもらえてるのが」
「前は違ったのかよ」
「小学校の時ね」
 昔の話になった。
「気が強くて。しょっちゅう男の子と喧嘩して」
「あいつらしいな」
「それで色々と誤解されてたの。学級会にもなって」
「結構大変だったんだな」
「そういうことがあったから。今ああして私達以外とも仲良くて」 
「北乃達とも上手くやってるしな」
「少年も恵美も茜ちゃんもいい娘よね」
 未晴はこのことも話して微笑む。どうやらこのことも嬉しいらしい。
「何かというと世話焼いてくれて」
「安橋が案外な」
 正道は恵美に注目していた。
「そうなんだよな。無口だけれど世話焼きだよな」
「ええ。あの三人の中でもね」
 あまり何も言わないが静かに動く、それが彼女なのだ。
「春華にも」
「あの中じゃ一番目立ってるしな」
 確かに春華は目立つ。クラスの女子の中でもその言葉使いでかなり知られているようになっている。目立つ顔触れの多いクラスではあるがその中でもだった。
「けれどな」
「何?」
「あの五人全員目立つからな」
「皆なのね」
「柳本も遠藤もな」
 咲や静華もだというのだ。
「ああした性格だしな」
「性格でなの」

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