元号が変わっても変わらないもの(要は大体のもの)
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「令和だーーーー!!」
「博士、まだ令和じゃないよ」
「令和じゃないけどもう、私の気分は令和なんだよ。元号変わるんだよ」
そう言うと博士は四つん這いになって平泳ぎのように床を滑った。
「元号が変わるー!スーイスイ!」
「博士、それもはやアメンボ」
「アメンボ赤いな」
「現実見て」
「冷たい!」
博士は叫んだ。
「なんか今日冷たい!」
「いつも冷たいじゃん」
「昨日も一昨日も冷たい!今日も昨日も一昨日も」
「冷たいことばっかー」
「そういうことー」
「博士この前の宿題どうしたの?」
「まだ無理ー。最近やりたいことが相次い……」
「待てん」
「というかそんな頭が頭痛で痛くなる話思いだしちゃってしやがって」
「博士が昔の芸人引っ張ってくるからでしょう」
「いやー、平成もそろそろ終わるなし、昔の流行りとかも思い出していきたくて」
「博士そういうの興味無いでしょ」
「知ってるしー昔の流行りぐらい」
「例えば?」
「牛鍋」
「欧米化」
「そもそも私流行りとかに興味無いんだけど」
「知ってる」
「何でこんな話してんの?」
「博士が昔の芸人引っ張ってくるからだっつってんだろ」
「やはりね、流行に乗るよりは流行を作る側になった方がいいと思う。でしょ?」
「思わない」
「思いなさい」
「いやだ」
「洗脳ビーム!ビビヒビ!」
「流行に乗るより流行を作る側になった方がいいと思う」
「そう、私は時代の先を、無謀に走る。その為にまず、発信者になる!」
「周回遅れしてる……」
「まじ!?じゃあ無し!」
「でも流行に乗るより流行を作る側になった方がいいと思う」
「やべ、洗脳の解き方分かんない」
「そこは分かっといてよ」
「行きはよいよい帰りは朝朝ってね」
「カプセルホテルみたいな」
「プルゥゥン、ボリィンッ!」
「スマブラのドクマリのカプセルの音真似されても分からんってば」
「でも分かったじゃん」
「自分で自分が正気でないなって」
「役に立たない正気なんていらないからいいじゃん」
「正気が可哀想」
「あっ!ほらほら、見て」
「……ん?」
博士が指指した先では、夕日の端が水平線に触れていた。
「綺麗ー!綺麗わ!綺麗わ!」
「だから平成だって」
「平成の太陽も見納めだね……」
「そうだね」
太陽は暦を知らない。沈んで、上る。それを見て勝手に人間がはしゃぐ。
「しょーもないって思ってる?」
「しょーもないのは、嫌いじゃないよ」
そう答えると、博士はにこりと笑って、スッと目の前に寄ってきた。
「んじゃ、よかった」
博士は唇を重ねてきた。
「…………」
「嫌いじゃないでしょ?」
「あのっ、あのねっ、そもそもそういう関係じゃないでしょ」
「明日の日の出は眠いか
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