二十三 取り違え
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で、白がもっともな発言をする。
しかしながら、その手は水月を取り押さえる力を一切止めない。
その上、液体化して【水化の術】で逃げられないように身体を凍らせてくる白に、水月は顔を引き攣らせた。
白の助言を受けて、ナルトは「そうだな」と頷く。
ヘルプ!!とナルトに助けを求める水月を、「そこまでにしとけよ…」と次郎坊が抑える一方で、「いいぞもっとやれやれ!!」「意外とブラコンなんだな、おめー」と煽る多由也と香燐。
その光景を呆れたように見やる再不斬の隣で肩を竦めたナルトは、鬼童丸に【念華微笑の術】で指示を出した。
ダンゾウがいつ戻ってくるかわからない今、彼を助け出すのはリスクが高すぎる。
水月の兄の満月か、それともサイの兄のシンなのか。
どちらにせよ、水柱の中の彼を助けるのは、またの機会にするしかない。
だが、ナルトは知っている。
サイの兄のシンの居所を。
元『根』の一員であり、そして現在大蛇丸の部下であるシン。
かつて『木ノ葉崩し』の幕が下りた時期、ナルトはシンと接触している。
あの時、彼はこう言った。
『弟はダンゾウに騙されている。だから俺は弟を、サイを、ダンゾウの魔の手から救おうと大蛇丸の部下になったんだ』と。
その発言から、大蛇丸の許にいる彼が本物のシンだと窺える。
ならば、やはりダンゾウの許にいてサイがシンと呼ぶ水柱内の彼は、水月の兄である鬼灯満月だ。
おおかた、サイに己の言う事を聞かす為の手段及び人質として、ダンゾウが利用しているのだろう。
要するにサイは、自分の兄のシンと、水月の兄の満月を取り違えているのだ。
もっとも、以上の事は、あくまでナルトの憶測だ。
実際に水柱内の彼を助け出すまでは、下手に結論を下すわけにはいかない。
思案顔を浮かべていたナルトは、ひとまず鬼童丸に指示を与え、次いで、右近達と同じく【根】に現在所属している相手に連絡を取った。
【念華微笑の術】でナルトに指示された通り、鬼童丸は水柱の周囲を視えない糸で巻きつける。
鬼童丸の口寄せ動物である蜘蛛の糸は、そう簡単に見破れず、そう容易に切れたりしない。
蜘蛛の糸を巻き付けた直後「終わったぞ」と伝えるや否や、『鬼童丸、右近』とナルトが有無を言わさぬ強い口調で告げた。
『今すぐ眼を閉じろ』
「「……ッ、」」
条件反射的に、眼を瞑る。
『もういいぞ』とナルトからの許可が下りる前に、この場にはいない第三者の声がした。
「やれやれ…人使いが荒いですね、ナルトくんは」
咄嗟に、声がした方向から飛び退く。
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