二十三 取り違え
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ないといけないんだ…」
生きて帰ってこれるかわからない超難易度任務。
故に、ダンゾウの許可を得ずに、独断で会いに来たサイは水柱にそっと手を当てる。
双眸を閉ざし、水をたゆたう満月。
水柱の中にいる彼の手があるあたりに、柱ごしに手を合わせて、サイは満月を見上げた。
「だから生還できるように祈ってて───シン兄さん」
水柱から離れて立ち去ったサイ。
暫くしてから、隠れていた機材からそっと立ち上がった鬼童丸と右近と、ダンゾウの部下はすっかり混乱していた。
「は…?あの水柱の中にいるのは、水月の兄じゃなかったのか?」
「シン兄さんって言ってたよな?」
困惑顔で顔を見合わせた鬼童丸と右近の横で、右近に寄生されているダンゾウの部下が「そんな…バカな」と呆然と呟いている。
「シン…アイツは死んだはずだ」
かつて【根】では幼い子ども達を集めて共同生活をさせ、忍びとしての訓練をしてきた。
だから自然と仲良くなった子や、あるいは兄弟のように共に過ごしてきた子どもが多かった。特にサイとシンは実の兄弟でもないのに、本物の兄弟よりも兄弟らしかった。
しかしながら、仲間同士の殺し合いにより、シンは死んだはずだった。
忍びとして合理的な思考及び行動がとれるように、感情を消す訓練として殺し合いをさせたのである。
全てはダンゾウの教育方針だ。
【根】とはダンゾウの『木ノ葉という大木を目に見えぬ地の中より支える』という根の意思を元に活動する組織。
よってサイが兄と慕っていたシンは、その時、既に命を落としているはずである。
愕然とするダンゾウの部下を視界の端に捉えながら、鬼童丸はナルトに再び【念華微笑の術】で連絡を取った。
困った時のナルト頼みである。
『あの水柱の中にいるのは、水月の兄貴じゃなかったのか?』
「…なにがあった?」
前々からの推測通りだと思いつつも、億尾にも出さない様子で、ナルトは訊ねた。
固唾を呑んで、見守る水月をチラリと視線を投げる。
鬼童丸からの報告を受けるナルトからの答えを聞いて、水月は「はぁあ!!??」といきり立った。
「誰だよ、シンって!!??ボクの兄の満月に決まってるでしょーが!!」
水で満たされ、密閉されている柱。
そこで身動ぎできずとも生きていられるのは、【水化の術】を使える鬼灯兄弟だけだ。
憤慨する水月が勢い余ってナルトに食って掛かろうとするのを、白と君麻呂が羽交い絞めにする。
「ナルト様に八つ当たりするな!!」
「ナルトくん、現場にいない我々では、判断が難しいと思いますよ」
ナルトの身を案じる君麻呂の隣
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