二十三 取り違え
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くするのが目的のようだな」
液体化できる特殊な体質であるからこそ、生きていられるが、柱の外にいる者に話しかけることはできないだろう。
水の中だから助けを呼ぶこともできないし、声を出す事もできない兄の現状に、水月は顔を顰める。
「『霧の忍刀七人衆』の刀と一緒に満月を逃がすわけにはいかないか?」
「ダンゾウが戻ってくるまでもう時間がないだろーが」
議論する水月達を横目に思案顔を浮かべていたナルトは、脳裏に響く鬼童丸の焦った声に、眉を顰めた。
「どうした?」
『誰かこっちに来るぜよ…!』
早く、身を隠すように促したナルトの脳裏から、鬼童丸の声が途絶えた。
【念華微笑の術】を一度解いたのだろう。
ややあって再び【念華微笑の術】で連絡を取ってきた鬼童丸の発言に、ナルトは内心(やはりな…)と溜息をひとつ零した。
「どういうことぜよ…?」
水の柱の前で、誰かが語りかけている。
人の気配がするなり、咄嗟に機材の影に隠れた右近は、人質であるダンゾウの部下の口を手で押さえた。
同じく身を潜めた鬼童丸は、水柱の前に佇む人物を、目を凝らして見つめる。
こちらに近づいてくる気配がして、もう『霧の忍刀七人衆』の刀を盗んだことがバレたのか、と身構えたが、相手は水柱の許へ一直線に向かった。そのまま、楽しそうになにやら話しかけている。
水柱の中にいる満月からは返事などあるわけないのに、語り掛けている人間は見覚えがあった。
「あれは…サイ、だったか…?」
右近の問いに、口を押さえられたままのダンゾウの部下がこくこく頷く。水柱の前にいるサイを遠目に確信した部下は怪訝な表情を浮かべていた。
ダンゾウにお気に入りであるサイを前々からあまり良く思っていなかった部下の訝しげな視線に気づかず、サイは水柱に手を添えて楽しそうに話している。
表情に乏しいサイの珍しいその様子に、鬼童丸と右近は顔を見合わせた。聞き耳を立てる。
「…──本当はダンゾウ様の許可がないと此処には来れないんだ」
苦笑雑じりのサイの言葉を、水柱の中にいる満月は聞いているのか聞いていないのか。
おそらく眠っているのだろう彼を見上げて、サイは更に言葉を続ける。
「毎回、任務のご褒美に会わせてもらってたけど、次の任務は少し、難しいから…」
その口振りから、今はダンゾウから許可をもらっていないのだろう。
落ち着きなく、周囲を警戒しているものの、いつもの冷静さを欠いている為に、鬼童丸や右近にダンゾウの部下が身を潜めている事に、サイは気づいていない。
「次の任務は…大蛇丸のアジトに忍び込ま
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