247部分:そよ吹く風その四
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そよ吹く風その四
「どうしたんですか?」
「先生!?」
「誰、あの人」
クラスの何人かがその先生の顔を見て言う。
「何か目立つ顔だけれど」
「誰なの?あの人」
「三年B組の川藤先生よ」
茜がそのクラスメイト達に話した。
「ボクシング部の顧問なのよ」
「っていうと北乃がボクシング部のマネージャーだから」
「それか」
「ええ、そうみたいね」
茜はまた彼等に話した。
「どうやらね」
「御前の机の上に置いておいたな」
「机の上!?」
「あれだよ、あの忌々しい」
川藤先生はその髭だらけの顔を歪めさせて明日夢に話してきた。
「あの。ジャイアンツグッズ」
「あれですか」
「あれ捨てといてくれないか?」
こう言うのである。
「あれな。ゴミ箱にでもって」
「ゴミ箱にでもって」
「何か知らないけれど持ってたんだよ」
その歪めさせた顔でまた明日夢に言ってきた。
「おとつい甲子園に行った時な。それでマネージャーの御前に処分頼もうと思ってな」
「それで机の上にですか」
「ああ」
これで真相がわかった。
「そうだ。宜しく頼むな」
ここまで話して扉を閉めるのだった。話はこれで終わった。
「何だ」
「そんなことかよ」
真相がわかった皆は一斉にこう声をあげた。
「何かと思ったらよ」
「先生の仕業かよ」
「けれど川藤先生!?」
凛がその少し垂れているアーモンド形の目を顰めさせながら言ってきた。
「ちょっとどころじゃなく酷くない?あんな不吉なの少年に処分してくれって」
「自分でしろよってなるよな」
「なあ」
坪本と坂上も言う。
「あんなのよ」
「っていうか何であんなの持って来たんだろうな」
「あの先生も阪神ファンなんだけれどね」
明日夢はその川藤先生のことを皆に話してきた。
「お酒に酔ったらね。もう滅茶苦茶で」
「そんな顔はしてるな」
「そうね」
皆外見だけで判断している。
「ああやってゴミとか持って帰ってそのまま学校で寝たり」
「それ最悪じゃない」
咲が今の話に目を顰めさせた。
「それでフルチンだったら人間止めてるわよ」
「しかも酔ったら絶対裸踊りするらしいし」
まさに人間の終着点そのものであった。咲の言葉通り。
「体毛も物凄いらしいし。酔ってあまりに酷いんで一回奥さんに離婚されかかったそうだし」
「まあそうだろうな」
「裸踊りじゃね」
皆も納得する今の話だった。
「それでまあ。後片付けも全然しないし。滅茶苦茶いい加減な先生なのよ」
「凄いね」
桐生はここまで聞いたうえでぽつりと呟いた。
「そういう人がボクシング部の顧問なんだ」
「だから細かいことは全部マネージャーがやってるの」
その明日夢がである。
「私の他に二
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