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ある晴れた日に
246部分:そよ吹く風その三
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そよ吹く風その三

「ざまあねえぜ、それってよ」
「ってあんたも燃やすのに賛成してなかった?」
 静華が野本に突っ込みを入れる。
「確か」
「まあそうだけれどな。今俺も気付いたんだよ」
「全く。まあそれは私もだけれどね」 
 実は彼女もなのであった。
「迂闊だったわね。もう燃やしたし」
「どうしようかしら」 
 明日夢は首を捻った。何時の間にか皆それぞれ席を車座にしてそのうえで学級会になっていた。そのうえで話をしているのである。
「証拠そんなのになったし」
「犯人はわからないってこと?」
「真相は藪の中ってか?」
 皆それぞれ言う。
「というか僕達が藪の中にしたし」
「それ言うとね」
 加山と千佳も難しい顔になっている。
「困ったね。これはね」
「なかったことにするしかないのかしら」
「っていうかよ」
 また明日夢が言ってきた。今回は被害者になっている彼女が。
「これ何時からあったのよ」
「朝教室に行ったらあったよ」
 桐生が答えてきた。
「今日クラスで一番は僕だったけれどね」
「あんただったの」
「その時にもうあったよ」
 こう話すのだった。
「その時にはね」
「時間は七時半位?」
「その頃だったね」
 時間についても述べる。
「部活の朝練って」
「七時からよ」
「それからよ」
 それぞれ空手部と陸上部の静華と凛が答えた。
「だから私達それが終わってからここに来たけれど」
「その時にはあったわ」
「それ八時位よね」
 明日夢は二人にも時間を尋ねた。
「そうよね」
「そうね。それ位ね」
「そうだと思うわ」
 二人の返事は桐生に比べると今一つ要領を得ないものであるがそれでもおおよそのことはわかるものだった。
「つまり私達が来た時にもあったし」
「丁度少年来たのだって八時だったじゃない」
「ええ」
 明日夢は二人の言葉に対して頷いた。
「そうだったわよね。やっぱり七時半前からあったのね」
「早朝に置かれた!?」
 竹山はこう推理を立ててきた。
「誰かが皆が朝練をしている間にこっそりと」
「何の為に?」
 次の疑問はこれだった。恵美の言葉だ。
「明日夢の机の上に置いたのよ」
「それは僕にも」 
 桐生にもわからないことであった。動機は。彼にしろ今時間の推理をしているだけである。
「わからないし」
「そうなのね。わからないのね」
「うん」
 残念そうに恵美に述べた。
「そこまでは」
「本当に誰が何時何の目的で?」
 皆このことをあらためて考える。
「あんなの置いたのかしら」
「全く」
「おい」
 皆が考え込むその時だった。不意にクラスの後ろの扉が開いてそこから髭の男の先生が出て来た。顔中髭だらけで何か熊を思わせる外見である。そ
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