第三章
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「海和尚だから海なのに」
「どうして川にいるのかしらね」
「ここ淀川だけれど」
「確かに海は近いけれど」
「わしは川に入ることも出来るのじゃ」
海和尚はいぶかしむ二人に種明かしをした。
「それでじゃ」
「ああ、それでなのね」
「今は川にいるの」
「海だけじゃなくて川にもいられるから」
「それでなのね」
「普段は大阪の海の方におるが」
それがとだ、妖怪は自分の本来の棲み処の話もした。
「実は今淀川を上がって京都のあちこちの神社やお寺にお参りして帰りは大阪でそうしようと思っておる。人間の坊さんに化けてな」
「そうなの」
「それでなの」
「そうじゃ、そのつもりでな」
それでというのだ。
「今はここにおる」
「途中で私達のお話を聞いて」
「それで出て来たのね」
「うむ、お参りはお願いで行くのじゃ」
その目的のことも話した。
「お前さん達と同じことを思ってじゃ」
「阪神ね」
「あのチームのことね」
「去年の様に、もっと言えばな」
それこそというのだ。
「暗黒時代に戻らぬ様にとな」
「今年も阪神しっくりいかないしね」
「矢野さん頑張って欲しいのに」
由佳も智子も妖怪の話に顔を見合わせて話した。
「何でかね」
「今年もドツボの感じよね」
「阪神には弱点がある」
妖怪はそのものズバリだと指摘した。
「肝心な時にこそ負けるのには訳があるのじゃ」
「あれね、甲子園のマモノ」
「あとケンタッキーのおじさん」
「よく言われてるけれど」
「そのせいでよね」
「あの者達は恐ろしい力があってじゃ」
妖怪が言うだけに信憑性が違っていた、実際に海和尚は二人に対して実に深刻な顔でその話をしていた。
「人が頑張ってもじゃ」
「阪神の人達が幾ら頑張っても」
「それでもなの」
「どうにもしにくい」
不可能ではないがというのだ。
「それでもじゃ」
「難しいのね」
「そうなのね」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「だからここはじゃ」
「京都や大阪の主な神様仏様にお願いして」
「マモノとケンタッキーのおじさんを抑えてもらうのね」
「そうして欲しいから」
それ故にというのだ。
「わしは今から京都に行ってじゃ」
「そしてなのね」
「京都の後はこの大阪に戻って」
「それでなの」
「今度は大阪の神社やお寺にも行くのね」
「あと京都に行った時滋賀も行く、比叡山じゃ」
この寺にもというのだ。
「そして奈良、三重、和歌山、兵庫にも行くぞ」
「関西全部じゃない」
「関西全部の主な神様仏様にお願いするの」
「さもないとじゃ」
そこまでしないと、というのだ。
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