禁句に気をつけろジャックさん!
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「カーター、命じていたように油の準備はしているな!?」
「は! しかし……それを使ってしまえば、壁が――」
「どうせ長居する気もない、躊躇うな!」
兵士らに指示させ無駄に備蓄のあった油を全て持ってこさせる。熱してやる必要もない。それを城壁の上から下に撒かせ、そこに火を噴く魔剣を投げ込んだ。
城壁に取りつこうとしたケルト戦士が怯む。眼前に炎の壁が立ちはだかったのだ。兵士達に城壁の真下を撃たせつつ沖田に命じる。
「春、ペンテシレイアを抑えろ。斬れるのなら斬れ。出し惜しむものは何もない。抑えるのは10分でいいぞ」
「承知」
城壁を破壊せんと鉄球を振りかざそうとしていたペンテシレイアは、しかし背後に突如として現れた沖田に超反応を見せた。来ると分かっていれば回避に難儀するものでもない、そう言いたげに鉄爪を背後に振るうも、それは空を切る。背後を取るや再びの縮地、今度は正面に現れ、その喉を貫く軌道の刺突を見舞ったのだ。
ペンテシレイアの体勢は崩れている。正面からは対処できない。しかしペンテシレイアは沖田の刀の切っ先を、大きく開けた口で受け止めた。
「ッ!」
強靭な顎と歯。それで鋼を噛み砕き、沖田は慄然とする。咄嗟に鞘を帯から抜き放って女王の鉄球を逸らし、沖田は大きく後退した。
戦局の把握に抜かりはない。俺は沖田の足元に、彼女の愛刀を投影して放った。地面に突き立ったそれを沖田は即座に引き抜く。マスター、感謝します! ペンテシレイアが舌打ちした。
俺は剣群の大量投影、絨毯爆撃を続行する。今はケルト戦士の処理が先決。沖田を狙う戦士を優先的に排除。高所と『人類愛』による手数が鉄壁の弾壁となっていた。城壁に辿り着く前に爆撃に晒されケルト戦士は本領を発揮できない。目に見えて、加速度的に消滅していくケルト戦士を前に、俺は大声を上げた。
「――どうするペンテシレイア! お前の軍は壊滅している! 奴らが消えれば次はお前だ、引き際という奴だぞ!」
殲滅されていく戦士団。兵士らの弾雨、俺の剣群。地の利や敵とするサーヴァントの技量。それらを統計して、ペンテシレイアは吐き捨てた。
「……チィッ! 忌々しい男だ、ジャック!」
ペンテシレイアが神性を解放する。膨れ上がる暴威に沖田は冷徹な眼差しを揺らがせず、怜悧な刃を閃かせてペンテシレイアの手首を切り落とした。――いや切り落とせない。刃が高密度の筋肉に阻まれたかのように切断には至らない。面食らう沖田。その隙にペンテシレイアは傀儡の戦士の元に一足跳びに移り、その首を掴むと沖田の方へ投げつけた。
咄嗟にそれを両断した沖田の目に、ペンテシレイアが身を翻して撤退していく姿が飛び込んでくる。
「逃がすものか……!」
「いや、追うな春」
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