綱渡りが好きだねジャックさん!
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、敵から離れた地点で急ぎ穴を掘る。俺の脚が膝まで落ちる程度の深さのものをスコップを投影して無数に堀り続けた。そこに毒を与える短剣を、切っ先を上に向けて土に突き刺し、穴に掘り返した土を埋め直す。
それを無数に行い、樹木と樹木の間に投影したロープを掛け、それに掛かれば鈴がなる仕組みのものを多数仕掛け。それとは別に樹木へ足首に掛かる程度の低さでロープを巻き付け、それに掛かれば頭上から剣の束が落ちてくる仕組みも作る。
そして丁度手近に寄ってきた戦士に銃撃した。脳天を撃ち抜く。しかしその銃声で俺の位置は知られただろう。わざと足音を立てながら逃走する。猛烈に追い掛けてくる気配がした。自身の仕掛けた罠に掛からないように駆け抜け、気配を絶って姿を隠す。
あちらこちらで鈴が鳴り始めるのが聞こえると移動を始め、今まで俺がいた地点と反対側に向かった。その際に足を毒剣に貫かれ絶叫する声、頭上から落ちてくる剣の雨に見舞われ断末魔を響かせているのが聞こえる。
鈴の音色、絶叫に釣られ密な隊形が崩れたのが分かる。まんまと移動に成功した。しかし……まずいな。ペンテシレイアの現在地が掴めない。流石にケルト戦士の数が多すぎる。なるべく早く把握しておきたいが、それは欲張り過ぎだろう。
手を換え品を換え、三時間ほど粘った。完全な真っ暗闇となっている。更に二時間、暗殺に専念した。
「……、……」
息が乱れてきていた。流石に、厳しい。体力の底が見えてきた。何より腹が減っている。その上眠い。
……無理は禁物だな。少し寝た方がいい。空腹はまだ我慢が利くが、眠気で集中力を途切れさせるのは死に直結する事態を招くだろう。太い樹木を見つけると、その木の根が迫り上がり、微かな隙間があるのを見つけて潜り込んだ。そのまま地面に伏せた状態で一時間眠る。一時間きっかりで目を覚ますと、まだケルト戦士らの気配があるのを感じて安堵した。寝ている間に森から出られていたらどうしようもなかった。
大きな木の根の隙間から出ると、ケルト戦士の気配を察知する。
「――」
冷や汗が吹き出た。偶然だろう、ケルト戦士の一団がこちらを包囲する形で辺りを探索している。
マズイ。一時間ではなく三十分の仮眠にしておくべきだったか。後悔するも、やむをえない。強行突破する他になかった。出来る限り音を出さずに走り、ケルト戦士の二組を目視する。五人一組だ、故に十人。
速攻でカタをつけなければ死ぬ。魔術回路の負担を考える暇もない。幸いにも一時間の休息である程度は冷却されていた。
「投影、装填――」
ケルト戦士は俺の接近に気づいている。だが声を出させる訳にはいかない。決着は一瞬でなければならない。そして大規模な宝具も厳禁。確実性を込みで考えても、これしかなかった。
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