なんで休まないジャックさん!
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この間も言った気がするが、奴らの為ばかりに命を懸けてる訳じゃない。俺は俺の信条に従っているだけだ。俺が生きるついでに、彼らにも生きてもらう。それが俺の為なんだよ」
沖田のそれは愚問という奴だ。何せ一度、答えを渡してあるんだから。
何やら彼女は、俺が限界を超えて働き続けていると勘違いしているようで、悲痛な表情をしているが。生憎と俺の限界はまだまだ先だ。何せ俺が無理だと感じていない。無理じゃないなら出来るという事だ。
曲がりなりにも『人類愛』なんて大それた名をつけたのだ。相応の姿勢は見せてやらないとな。でないと生き足掻いて来た甲斐がない。
「俺は『BOSS』だ。『人類愛』の領袖なんだ。彼らを率いた責任がある、一度助けた責任もある。大人なんだ。責任から逃げるわけにはいかないだろう。それに――こんな時に格好つけられないんなら、大人になった甲斐がないってもんだ」
嘯く。精々強がれ、強がれないなら男じゃない。
「春、俺は男で、大人だ。見栄を張らしてくれ、格好つけさせてくれ。俺の相棒として、俺の信念を共有してくれ。お前は俺のものなんだろう?」
その刃を俺に預けると言ってくれたのは沖田だ。意地悪に笑い掛けてやると、沖田はそっぽを向いた。
軽く咳き込む素振りをしている。耳が赤い……また発作か? 頻度が高いな……。
「マスターは、悪い人です……」
「割とよく言われる。でも俺は言われるほど悪い人間じゃないはずだ。寧ろいい人だぞ」
「自称はやめてくださいっ。もぉ……ほんとう、ばかなんですから」
「おいおい」
「でも、マスター風に言うと、『でないと仕え甲斐がない』ですね。ええ、沖田さんの主君なんです。この……なんと言いますか。よく分からない熱もきっとマスターへの忠誠心なのかもしれません。そんなマスターだから、私は安心して傍にいられんですよ、きっと」
はにかみながらそう言った沖田に、俺は苦笑する。
――また忠誠か。ランサーといい、どうして俺なんかにそんな御大層なもんを向けるんだろうな。
口にしないのは、黙って受け取った方が格好いいからだ。ええかっこしぃはやめなさいと遠坂の奴に真顔になられたが……イリヤもだったか? ともあれ、男ってのは大なり小なり強がるものだ。情けないところは見られたくない。逆に格好いいところは見て欲しい。
沖田がいてくれるから、俺は強がれている。見栄を張れる。つまり、俺がこんな風にやってるのも、沖田に責任の一端があるのは確定的に明らかなのだ。我ながら完璧な理論武装である。
しかし――あれだな。
「はい?」
呟く。
「行動しない奴に女神は微笑まないらしいが……だとしたら今、女神は俺に微笑んだぞ」
嘆息する。何を言ってるんですかと呆れ
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