エピローグ
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はありませんでした。ですが、そのひとつだけ答えましょう。私が個人的にフルールに疑念を抱いたのは、かなり前……かの銀行の名を最初に耳にした時でした』
『そ、それは、どういう……』
『フルール・ド・ラバンク、直訳で「銀行の白百合」。決して間違った語ではありませんが、普通この語を用いるのならば「白百合の銀行」とするのがベターでしょう。それを知りつつあえてその名前にしたという可能性もゼロではありませんが、それよりも私はこの名前そのものが、自分たちの存在をテロリストどもに伝えるひとつの符丁なのではないかという可能性に思い至りました。結果は、案の定でしたよ』
そう言いつつ、制服から1枚のカードを取り出して質問した青年に見えるようにする鼓。何か聞くよりも早く、彼女自身が先手を打ってその口を開く。
『これは私が社長室へ踏み込んだ際、進退窮まった社長が「BV」を用いての違法デュエルを持ち掛けてきた際に使用していたカードです。大した腕ではありませんでしたが……いえ、話が逸れました。このカードですが、見ての通り日本版におけるその名はフルール・ド・シュヴァリエ。直訳で「騎士の白百合」……もちろん証拠が当時は存在しなかったためつい先ほどまで手出しはできませんでしたが、この摘発に「きっかけ」などというものが存在したとすればそれは、このカードとのネーミングの類似からです。このフルール・ド・シュバリエはフルール・ド・ラバンクの設立以前から存在するカード、つまり彼があえてデュエルモンスターズのカード名に類似した名前を付けたことになりますから』
『そんな乱暴な理由で……』
失言に気づき慌てて口を閉じる記者だが、それを聞きつけてなお鼓の表情は変わらなかった。代わりにただ肩をすくめ、ため息混じりに片手でメガネを上に押し上げる。
『その通り、乱暴な推測です。それゆえにかえって誰も思いつかず、見るものが見れば一目瞭然であるにもかかわらずこれまでは疑いの目をかけられることすらなかった。実際見事な隠蔽でした、我々としても「必ず何かを隠している」という視点の元で何度も洗い直してようやく尻尾を掴めたようなものですから』
その言葉を最後に、今度こそ背を向けて去っていく鼓。その後ろ姿を呆然とした風に映す映像が流れたところで、彼女はテレビの電源を落とした。
「いやー、面白いもん見た。んで鳥居君や、君は一体なーにをいつまでもうじうじしてるのかね。おねーさんが聞いたげようじゃない、うん?」
続けて目を向けたのは、記者会見が終わってもいまだに負のオーラを放出し続けている鳥居。彼はそのかつての仕事上テンションの切り替えがうまく、何があったにせよここまで目に見える形で引きずり続けている時点でかなりの異常事態があったことはわかる。
そして返事代わりに彼が投げつけてき
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