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リリなのinボクらの太陽サーガ
追憶のアンサング
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で予想だが、これから繰り出される攻撃ならヴァナルガンドと言えど気絶は免れないと思った。

「切り札はある。だけどここからじゃ届かない……!」

実際、重量の差でジャンゴよりヴァナルガンドの方が落下速度は速い。眼下の暗闇に自分より先に落ちるヴァナルガンドに攻撃を当てるには、少なからず加速させる要因が必要だった。それに攻撃した後にどうやって離れるか。回避できずに吸血で回復されたら元も子もない以上、やはり空中を移動する手段は必要不可欠だった。

だが、

「お兄ちゃぁぁぁああああああん!!!」

「えぇ!? サクラ!?」

エナジーの使えない普通の魔導師なら魔法が使えなくなる虚数空間の、暗黒物質の真っただ中だというのに彼女は飛行魔法をブーストさせてまでジャンゴの下へ飛んできた。もう生きて帰れないかもしれないというのに、サクラはそれでも駆け付けたのだ。

「サクラ……どうして……」

「決めたんだ。どこだって一緒に行くって!」

そんな彼女の想いに、ジャンゴはここまで来てくれた感謝と来させてしまった悲しみを同時に抱いた。だが来てしまった以上は共に戦うしかない。

彼女を胸元で受け止めた時の勢いで落下速度が増したことで、ジャンゴはこの機を逃すまいとメイスに力を入れる。そしてもう一つ、想いを告げたサクラの手が触れた途端、縁の下の力持ちとして支えてきたファイヤダイヤモンドからポゥっと小さな篝火が飛び出て、それが深紅のマフラーに宿ると、赤い軌跡を残す炎の翼となった。

「マキナ……」

闇の中でも飛べる(もう一人の仲間の)翼を得て、二人は思わず苦笑する。死してなお彼の力になってくれる、この世界で会えた頼れる仲間……ジャンゴはついさっきまで抱いていた絶望が吹き飛んだのを魂で実感した。

「よし、生きる希望が湧いてきた! 行こう!」

「うん!」

ファイヤダイヤモンドの回復で取り戻した貴重な体力をフル稼働し、炎の翼をはためかせてジャンゴ達は暴れまわるヴァナルガンドに近づいていき、進路を邪魔してくる腕にはメイスをぶつけて対処する。サクラは炎の翼の姿勢制御を自らの体内に展開した飛行魔法を介してコントロールし、ジャンゴのサポートを的確に行う。文字通り内臓が暴れまわるような痛みに耐えつつ、サクラとジャンゴは頭部に到達すると、二人の手でメイスの先端を突き刺す。

「「DIE!!」」

トリガーを引く。たったそれだけの動作で虚数空間全体が鳴動するほどの衝撃と共にパイルバンカーが放たれる。ジャンゴ達が反動で離れる中、驚異的な破壊力を直に受けたヴァナルガンドは雄叫びを上げる間すらなく気絶し、カーミラによる石化封印の速度が格段に早くなった。

「か、勝ったのか……?」

『辛うじて封印は間に合いましたが……己の力不足
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