暁 〜小説投稿サイト〜
翠碧色の虹
終幕:虹が晴れる時
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た事を思うと、少し早めに民宿風水を発つ方が良いだろう。だけど、それをどのように話せばいい? いつも気を遣ってくれる七夏ちゃん。自分の為に俺が早く出発する事を思わせる事なく、自然に話す方法が思いつかない。

七夏「!? 柚樹さん?」
時崎「な、七夏ちゃん?」
七夏「どしたの?」
時崎「七夏ちゃん、小説は?」
七夏「えっと、一区切りです☆」
時崎「そ、そう・・・」
七夏「今日は柚樹さんと一緒に、のんびりがいいな☆」
時崎「ああ! 俺も七夏ちゃんと一緒の事を考えてたよ」
七夏「くすっ☆」
時崎「俺も小説、読んでみようかな?」
七夏「え!?」
時崎「七夏ちゃんのお勧めってある?」
七夏「えっと、それじゃあ、七夏のお部屋で☆」
時崎「ああ!」

七夏ちゃんのお部屋に案内された。

七夏「柚樹さん☆ ここへどうぞです☆」
時崎「ありがとう!」

七夏ちゃんのお部屋でのんびりと過ごす。さっきはアルバムのデータを贈るという目的があったから、あまり意識はしなかったけど、女の子のお部屋に居るという事を意識し始めると、心は少し落ち着かなくなってきた。

七夏「柚樹さん、これはどうかな?」

七夏ちゃんは一冊の小説を持ってきてくれた。「歌恋」・・・初めて見る小説の題名・・・まあ、俺にとっては殆どの小説がそうなのだけど。「うたこい」って読むのだろうか?
七夏ちゃんも隣に座って小説を読み始めた。さっきよりも、ぴったりと寄り添ってくれる事が嬉しいけど・・・。

時崎「な、七夏ちゃん」
七夏「はい☆」
時崎「そ、その・・・どうしたの?」
七夏「前に笹夜先輩がこうしてて、いいなって思って☆」

あの時の事を、七夏ちゃんも意識してくれていたみたいだった。

時崎「た、確かに、いいなって思う!」
七夏「くすっ☆」

俺は心を落ち着かせる事がなかなか出来ず、小説の内容が頭に入ってこない「小説を読んでいるように見えるだけ」の状態だと思うけど、七夏ちゃんと一緒という事だけで良かった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

しばらくの間、小説の中の文字を眺めている。この小説「歌恋」の世界は、歌が上手くなりたいと努力する少女と、歌が上手いけど少し意地悪な少年の出逢いから始まっている。出逢い・・・か。七夏ちゃんとの出逢いはとても印象的だったけど、この小説の出逢いもなかなか・・・。

−−−−−−−−−−「歌恋」−−−−−−−−−−
「おまえ、音痴だよなぁ。なんでこの部に入った?」
「なんでって・・・」
「これでも叩いとけ!」
「!? カスタネット!?」

これって歌うなって事!?

「打楽器なら音程気にしなくてもいいからな!ははっ!」
「うー」
「ま、せいぜい、リズム感から養うんだな!」

意地悪なそ
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