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翠碧色の虹
終幕:虹が晴れる時
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ちゃんも、列車の出発が今すぐではないという事に気付いている様子だった。俺は乗車券を購入し、七夏ちゃんは駅員さんから入場券を受け取った。お見送りの場合は、入場券を受け取るだけでいい事になっている。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

心桜「ごめんくださーい!」
凪咲「あら? 心桜さん!?」
心桜「つっちゃーとお兄さん居ますか?」
凪咲「それが−−−」
心桜「えっ!? あたし、今から駅に行きますっ!」
凪咲「こ、心桜さんっ!」

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

心桜「さ、笹夜先輩!」
笹夜「あら、心桜さん!? そんなに慌ててどうしたのかしら?」
心桜「笹夜先輩! つっちゃーとお兄さんに会いませんでした?」
笹夜「え!? ええ。まだお話していた時間には−−−」
心桜「それが、お兄さん、予定よりも早く出発したって! もう駅に−−−」
笹夜「まあ!」
心桜「と、とにかく駅に急いで!」
笹夜「ちょっ! 心桜さん!?」
心桜「笹夜先輩! 早くっ!」

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

駅の構内で七夏ちゃんにお礼を言う。

時崎「七夏ちゃん、本当に色々とありがとう!」
七夏「はい☆」
時崎「天美さんと、高月さんにもよろしく!」
七夏「はいっ☆」

俺は、極力平静を装っていたが、内心の切ない気持が溢れ出ないように必死だった。七夏ちゃんは、いつもと変わらない様子で、俺は安堵する反面、少し複雑な気持ちもある。それは、俺が七夏ちゃんとお別れするのが・・・。

時崎「・・・・・」
七夏「・・・・・」

俺は、七夏ちゃんの綺麗な「ふたつの虹」を記憶に焼き付けようと、七夏ちゃんをじっと見つめる。列車のディーゼルエンジン音が急に大きくなった時−−−

七夏「・・・・・あっ!」

「ふたつの虹」から溢れ出る光・・・。列車の出発時刻が迫っている事を告げる大きなエンジン音・・・七夏ちゃんと水族館へ出かけた時は、あんなに心が弾んだ音なのに、今、この音を聞くと、とても切ない・・・。七夏ちゃんは、今まで堪えてくれていた事が分かって、俺の気持ちも一気に溢れ−−−

時崎「七夏ちゃんっ!!!」
七夏「ゆっ!!!」

列車が大きな音をたててながら駅を通過してゆく。

俺は、七夏ちゃんから溢れ出る感情を零さないよう、しっかりと包み込む。俺の手の中で、七夏ちゃんは少し震えているのが、はっきりと伝わってくる。

時崎「好きだ!!! 七夏ちゃんっ!!!」
七夏「っ!!!」

そんなに大きな声ではなく、搾り出すように俺の気持ちを七夏ちゃんに伝えた。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

笹夜「こ、心桜さん! 待って!」
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