終幕:虹が晴れる時
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、女の子が読む小説コーナーに俺が居ると、浮いて見える・・・いや、周りからどのように思われているかと思う事が、心を浮かせているのだろう。七夏ちゃんは、すぐに『歌恋』を見つけて、俺の所に持って来てくれた。
七夏「えっと、これです☆」
時崎「3冊ともあったんだ」
七夏「はい☆ 全部買いますか?」
時崎「七夏ちゃんのお勧めだから、全部買うよ!」
七夏「くすっ☆」
時崎「七夏ちゃんは、何か気になる小説ある?」
七夏「えっと・・・少し、待っててもらえますか?」
時崎「もちろん、構わないよ」
七夏「ありがとです☆」
しばらく、七夏ちゃんを待つ間、「歌恋」の表紙を眺めている。少女漫画風の絵が描かれているのだけど、これを俺がレジに持って行くのか・・・心の動揺は、もう何に対してなのか分からなくなってきた。七夏ちゃんの事を想って書店に着たけど、最後にこんな試練が待っていたとは・・・と、とにかく、落ち着こう。
七夏「柚樹さん☆ お待たせです☆」
七夏ちゃんは、特に小説を持ってはいなかった。
時崎「あれ? 小説、見つからなかった?」
七夏「えっと、ありましたけど、今はいいかなって」
時崎「そうなの?」
七夏「小説買っちゃうと、すぐ読みたくなりますから」
時崎「構わないと思うけど」
七夏「宿題を先に済ませてからのお楽しみにと思って☆」
時崎「うっ・・・ごめん」
・・・そうだった、ここしばらく、七夏ちゃんは午前中に宿題をしていないみたいだったけど、それは俺が原因だと思う。
七夏「くすっ☆ 柚樹さん、宿題の事は七夏がそうするって決めた事ですから☆」
時崎「ありがとう・・・七夏ちゃん」
七夏「はいっ☆」
・・・で、「歌恋」をレジに持って行く訳だけど、俺の心境を七夏ちゃんが見逃す事は無かった。
七夏「柚樹さん☆」
時崎「え!?」
七夏「小説、七夏が買ってきますから☆」
時崎「い、いいの?」
七夏「くすっ☆ 柚樹さん、少し歩き方が不自然みたいです」
時崎「ご、ごめん・・・じゃ、お願いするよ」
七夏「はい☆」
俺は、七夏ちゃんに小説とお金を渡した。いつも俺の事を気遣ってくれる七夏ちゃん。本当に可愛くて素敵な女の子だと思う。俺が追いかけたいのは「ふたつの虹」ではなく、七夏ちゃんなのだ。
七夏「柚樹さん☆ どうぞです☆」
時崎「ありがとう! 七夏ちゃん」
七夏ちゃんから小説とおつりを受け取った。小説はブックカバーが付けられており、これで人前で読んでも、何も思われる事はないだろう。
書店を出て、駅に着くと、既に列車は到着していた。けど、俺にはこの列車が今すぐ出発しないという事が分かった。
七夏「列車、来てますけど、出発はもう少し先みたいです☆」
時崎「あ、ああ」
七夏
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