終幕:虹が晴れる時
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れたくても触れられなかった事。凪咲さんのこれまでの想いが、心を締め付けられるほど伝わってきた。
凪咲「ありがとう・・・柚樹君・・・ありがとう・・・」
時崎「・・・・・」
俺は、凪咲さんの言葉と気持ちを受けとめる事がやっとだった。凪咲さんと七夏ちゃんを見て、喉の辺りが熱く詰まったような感覚・・・喉に栓をされたかのように声が出てこなかった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
時崎「それでは、1ヶ月間、お世話になりました」
凪咲「こちらこそ、大変お世話になりました♪」
七夏「柚樹さん☆ お弁当ですっ☆」
時崎「ありがとう! 七夏ちゃん!」
凪咲「柚樹君、いつでも風水にいらしてくださいませ♪」
凪咲さんの言葉は社交辞令ではない事が伝わってきて、嬉しく思う。
時崎「はいっ!」
七夏「それじゃ、七夏は柚樹さんを駅まで送ります☆」
凪咲「七夏、気をつけてね♪」
七夏「はいっ☆」
凪咲「柚樹君、またのお越しを、心待ちにいたしております♪」
時崎「ありがとうございます! 行ってきます!」
俺は「失礼します」とは言わなかった。必ず民宿風水に戻ってくるという想いを込めて・・・。
七夏ちゃんと一緒に駅まで歩く。すっかり歩き慣れたこの光景もしばらく見納めになるのか・・・。
七夏「どしたの? 柚樹さん?」
時崎「一ヶ月前と、変わったような気がするけど、変わっていないような気もあって・・・」
七夏「くすっ☆ 七夏は、結構変わったかなぁ☆」
時崎「そう?」
七夏「柚樹さんと出逢って、色々変われたと思います☆ あ、いいなって思える私にです☆」
時崎「良かった」
少し微笑む七夏ちゃんは、とても可愛い。俺はこれからもこの可愛い七夏ちゃんと一緒に過ごしたいけど、七夏ちゃんの心がまだ分からない事もあって・・・でも、俺の想いを伝えるのは今日しかない。想いを伝える為に心を落ち着かせようと努めているけど、心は逆に大きく揺れている。
自意識過剰かも知れないけど、七夏ちゃんは、俺の事を好意的に想ってくれていると信じたい。少なくとも、苦手な人とは一緒に居たいとは思わないだろうから・・・。
歩きながら七夏ちゃんは、駅前の書店を見ていた。
時崎「七夏ちゃん!」
七夏「あ、ごめんなさいです」
時崎「え!?」
七夏「つい、本屋さんを見ちゃって」
時崎「構わないよ! 本屋さんに寄ろう!」
七夏「え!? でも・・・」
時崎「特に列車の時間を決めてる訳じゃないから」
七夏「そうなの?」
時崎「来た列車に乗る! のんびりとね!」
七夏「くすっ☆」
時崎「それに、『歌恋』を買って読もうかなと」
七夏「あっ☆ はいっ☆ 七夏が案内します☆」
七夏ちゃんと一緒に書店に入る。小説コーナーを一緒に眺めているけど
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