幕間の物語「過去の出会い」
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見つけた。この世に自分以外に「人間」なんていなくて、自慰の道具になる物しかない、そう思っていた浅慮が恥ずかしい。この男なのだ。この男だけが、自分のはしたない自慰を「性交」にしてくれる。まさに――
『運命の、ひと……』
『む?』
『えっ』
恍惚に震えるキアラが自分を見ていると気づいた男は呆気に取られた。門司は間を空け、一つ頷き男の肩を叩く。強く生きろと。
『私……貴方に恋してしまいました。私を縛りつけた責任……取ってくださいませ?』
『……』
『えっ。……えっ?』
朗らかに恋に落ちた女の言葉に、■■は困惑を隠せない。そして――門司と■■の旅に、キアラが同道する事になったのである。
斯くして■■の心は練磨される。あの手この手の誘惑に堪え、寧ろ怯え。若くして鉄心を完成させる工程を踏み、そしてある日――■■は門司にキアラを押し付けて逃げた。
『■■――ッッッ! お主、なんて事をッ?!』
『なんて酷い方なのですか……! ええ決して逃がしません、いつか貴方を捕まえるまで、捕まえた後も永遠に、死ぬまで溶かし続けてあげますからね……! 私、やれば出来る女なんです。絶対に絶対に貴方のお役に立って、今度は私が縛ってやるんですから――!』
■■は公式戦無敗。されどこの非公式な戦いで、彼は敗北した。無様に遁走した。
このままでは喰われる――その確信が■■をして逃走を決意させる一幕。
それを全て見届けた沖田は物凄く同情した。
マスター、強く生きてください……。今の沖田には、応援するしかなかった。
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