希望の種
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べての属性を使いきり、神の領域にまでに手を出す・・・それをお前はしたことがなかったよな」
「あぁ・・・それほどの相手を見つけたことはないからな」
あまりにも強大な力を付けすぎたティオスは、本気を出せるような相手を見つけ出したことはなかった。ただの練習でしか、すべての魔法の解放、神の領域の始動を行ってこなかった。そのレベルに到達する存在が、この世界にはいなかったから。
「お前ほどの魔導士なら、俺の戦いも覚えているんじゃないか?」
「そうだな・・・色んな戦いを見せてもらったよ」
まだレオンであった時から彼を追いかけていた時まで・・・あらゆる彼の戦いを見てきた。戦いを好み、強者とは互いの力を出し尽くす、弱者は一瞬のうちに消し去る・・・そんな戦いをして来た様を。
「俺はいかなる相手にも手を抜くことはない。ゆえに・・・」
元の距離から数十メートルは離れていたはずなのに・・・起き上がったティオスの目と鼻の先にある天海の顔。
またしても追いきれないその動きに、ティオスは唖然とするしかない。
「常に肉体は破壊と再生を繰り返し、他を凌駕する成長速度を有している」
人間の体はよくできている。肉体の限界を超える負荷が掛かればそれに耐えうるために強化され、使わなければ退化していく。ティオスはこれまで力を失わないようにしかしてこなかった。それにより絶対的な魔力を保留し、他者を圧倒してきている。
だが、天海はそれ以上だった。戦いの中で進化し、あらゆることを試し、常に成長を遂げていく。破壊されても即座に修復し、超回復していくことにより、彼はすでにティオスの知る自身の力を越えてしまっていた。
「今のままで勝てるほど、甘くはないことを重々理解しておいてくれ」
口調は冷静そのものだが、目は笑っていなかった。ティオスに残された道は2つ・・・このままやられるか、あるいは・・・
「これで終わりだぁ!!ゼレフー!!」
「消えろぉぉ!!ナツゥゥ!!」
ぶつかり合う兄弟の拳。双方の渾身の一撃・・・その威力は絶大で、ぶつかりあった瞬間に手元が光った。
「!!」
その手応えで何を感じたのだろうか、ゼレフの表情が曇る。
「おおおおおおお!!」
「熱い・・・焼ける!!僕の魔法が・・・時が燃やされている!!」
ゼレフの膨れ上がった魔力すらも押しきろうとするナツの炎。そのあまりの高温に、彼の腕すら溶け始めていた。
「自身の魂を燃やして・・・」
迷うことなく目の前の存在に注がれる力。対するゼレフには最後まで迷いがあった・・・
ナツの存在・・・メイビスに対する思い入れ・・・あらゆる要素が積み重なって迷いを振り払い切れない彼に、勝つ術などあるはず
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