225部分:オレンジは花の香りその八
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オレンジは花の香りその八
「梅雨でじめじめしてるから食い物やばいんだろ?」
「何度も言うけれど安心よ」
「それはな」
まだ白を切り続けている。
「だからそれは置いておいてよ」
「そういえば雨か」
「今日もずっとだよな」
坂上はここでまた窓の外を見た。うんざりとした顔で。
「天気予報でもな。一日中ずっとな」
「じゃあ外は無理ね」
「食い物とか酒は運ぶことができるけれどな」
「で、場所は?」
皆またその場所を尋ねる。
「本当に今日やれるの?」
「かなり不安になってきたんだけれどよ」
「まあ絶対に何とかなるから」
「ああ、そうだ」
ここで佐々がふと言うのだった。
「いい場所があったな」
「何処?」
「おい安橋」
ここで恵美に声をかけるのだった。
「よかったらよ」
「鏡店貸して欲しいって?」
「ああ。駄目か?」
こう恵美に尋ねるのだった。
「ちゃんと借りるだけのことはするからよ」
「じゃああんた終わった後の皿洗いね」
恵美はそれを交換条件に出してきた。
「それでいいかしら」
「随分安い条件だな」
「しかも私なし?」
明日夢はそれが少し気になった。
「ひょっとして」
「あんたもやりたいのならいいけれど」
恵美はその明日夢にも顔を向けて述べた。
「バイト代も出すわよ」
「そう。それだったら」
「条件は同じよ」
やはり場所の提供であった。
「つまり」
「結局やらなければいけないのね」
「世の中ギブアンドテイクだから」
今度の言葉はクールなものだった。
「それでいいわね」
「わかったわ。それじゃあ場所は提供してくれるのね」
「ええ」
これはもう決まっていた。
「いいわよ。今日は元々定休日だったし」
「ああ、じゃあ都合いいな」
佐々はその言葉を聞いて顔をあげた。
「そっちもな」
「だから貸せるのよ。それで明日夢」
「うん」
「その日泊まる?」
こう彼女に言ってきたのだった。
「今日だけれど。どうするの?」
「泊めてくれるの」
「折角家に来るんじゃない」
微笑んで述べた言葉だった。
「だったらね。折角だし」
「それも久し振りね」
明日夢は恵美の言葉を聞いて微笑んだ。
「恵美のお家にお泊りするのよ」
「逆は結構あるけれどね」
「けれどこのパターンはなかったから」
「だからなのね」
明日夢も微笑んで恵美に話す。
「それじゃあ」
「ええ。それでどう?」
「御願いするわ」
また恵美に微笑んで答えた。
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