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だいたいチーバくんのおかげでややこしくなった話
だいたいチーバくんのおかげでややこしくなった話
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 まずは礼とともに、チーバくんのハンドタオルを受け取った。
 やや無愛想な言い方になってしまったが、キャラ的にはまあまあ無難であろうという自己評価を下した。これ以上のキャラブレは避けたかったので、いちおう及第点とする。
 よし。続いてこちらから何か言葉を――。

 ところが。
 総一郎よりも早く、相手のほうから想定外の言葉が飛んできてしまう。

「あのさ。いつも俺の前に立ってるよな?」

 そのタイミング、その内容。心臓が大きく跳ねた。飛び出るかと思った。完全に意表を突かれた。
 どう考えても、正直に答えられるはずがない問いかけだ。

 激しい動揺。
 そしてそれを表に出すまいという必死さは、新たなミスを生んだ。

「ああ。君はいつもこの次の駅で降りるから。そのあと空いた席に僕が座れるからな」

 とっさに、そう取り繕ってしまったのである。

(まずい……)

 言い終わるや否や、そう思った。
 彼の前に立つ理由が、「空いた席に座りたいため」。とっさに思いついた取り繕いにしては、完成度が高すぎやしないだろうか? しかも悪い方向に。

 若い学生でも朝の電車で座りたい人はたくさんいるだろう。リアリティがあるので、彼が完全に信じてしまった可能性がある。それではいけない。「あ、そう」で完結してしまう。その先がない。
 なぜこのような拡張性のない答えを選んでしまったのだろう。もっと話を広げやすい、たとえば本音が別にあることを匂わせるような、そんな感じにはできなかったのだろうか?

 また、人を『席確保要員』として扱っているような印象を与えてしまった可能性が濃厚であることも気がかりだ。
「僕のために席を取っておいてくれ」と言われて気分のよい人間などいないだろう。イメージの大幅悪化を招いたのではないか。

 さらには、実際には彼が下車したあと、自分は空いた席に座っていない。体調管理には気を遣っているので座る必要が特にないということもあるし、彼が温めた座席を使うことに少々気恥ずかしさもあったからだ。虚偽答弁にも当たってしまっている。

 最悪だ。今後にもつながらず、こちらに対しての印象が悪化したであろうという事実と、嘘をついてしまったという後味の悪さが残ってしまった。
 これはきっと、平成三十年史で振り返られてしまうレベルの愚答――。

 一人反省会を開いていると、彼の最寄り駅に着いたことを知らせるアナウンスが耳に入った。
 ハッとして彼を見ると、こちらに向けて笑顔で小さく会釈をしてきた。そしてサッと野球用バッグを取り、下車していく。
 総一郎は、それを目で追うことしかできなかった。

 彼がいなくなっても、反省タイムは続く。

(そもそも、だ)

 毎日彼の前に立っているのに、向こ
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