純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 19
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vol.25 【強者の傲慢=弱者の怠慢=大衆の無関心6】
「コイツはな! 次期大司教の座に就いてからずっと! 国内の各孤児院に支給されてる、運営資金の三分の一ずつを! 国民に無断で! 実家であるアヴェルカイン公爵家に横流ししてんだよ!」
保護者と被保護者の絶対的信頼関係を壊そうと、大声で一言一言丁寧に、自信たっぷりに吐き出された叫び。
……だったのだが。
「よこ、ながし……? って、なぁに?」
相手は年端もいかない小さな子供。
難しい話は通じなかった。
ちょっと何を言ってるのか解りません、とばかりに首を傾げるミネット。
貴族社会の暗部に相当する重大な秘密を暴露したにも拘らず、その意味を全然理解できていない無知な幼女に、クァイエットが小さく舌打ちする。
「だからガキは嫌いなんだよ。面倒くせぇな。良いか。お前らと同じ孤児が暮らしてるアルスエルナ国内の孤児院には、毎年必ずその土地の財政状況と収容人数に応じた運営資金……つまり、生活用の資金が割り当てられてる。衣服を買うにも、食材や調味料を揃えるにも、この資金が支給されなければ話にならないってことくらいは、さすがに解ってんだろ」
「えーと……おかねがないと、おかいものができないってこと、だよね? しってるよ! おかいものするときにね、なくしちゃだめだよっていって、わたしてくれるもん!」
「その金は国が出してるってことも、当然知ってるよな」
「うん! ごはんをたべられるのも、あたたかいおふとんでねむれるのも、ぜんぶ、えらいひとたちがきふしてくれるからって、いんちょうせんせいもぷりしらさまもいってたよ! だから、いつも『ありがとう』をわすれたらだめなんだよって」
「じゃ、国が支給してるその金に国民から集めた税金が混じってるのは?」
「うん、しってるよ! あるすえるなでは、みんなでおかねをだしあって、どうろとかいろんなものをせーびしてるんだよね! こじいんへのきふも、その……いっかん? だっけ? なんだよね?」
「そう。偉い奴らがこういうのを作ったらどうか? って感じの話し合いを重ねて、それを実際に作る為に必要な分の金を国民から掻き集めてるんだ。こうやって使うから、お前達はこれを作る為に、必要な分の人手や材料費やその他諸々の経費を出し合ってくれって、な。そうやって集めた金は全部、話し合いで決められた通りに使われる。決められたこと以外の目的では絶対使っちゃいけないんだ。どうしてだか解るか?」
「えと、ひつようだからあつめたおかねで……あ、そっか! なはしあいできめたことが、おかねをだしてくれたひとたちとのやくそく、なんだね!」
「その通りだ。本来の税金ってヤツは、約束した理由や結果を実現する為、もしくは、実現させた代わり
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