純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 19
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る。それだけの話よ」
「脆弱で怠惰な連中に、知と経験の重要性が理解できると本気で思ってる? あいつらは自分可愛さとその時々の気分でそれっぽい言葉を並べ立てて、他者を排除した自己領域を守ってるだけよ。己の総てで誰かを思い遣る行動を続けてきた貴女は、絶対的に正しい。貴女の背後に利己を縛る権力を透かし見て、その恩恵の下で生きていながら顧みることもせず、一方的に悪徳と蔑む連中こそが、この世の真の害悪よ」
「私は他の人より多くの物に恵まれているだけで、決してこの世の全てを知っている訳でも見通せる訳でも無い。私が知らない、私の最善より良い彼らなりの遣り方が在ってもおかしくはないし、計算では成し得ない事象が在る事も確かよ。彼らの言い分を聴きもせず、努力を盾に思い通りにならなかったと癇癪を起こすなんて、幼稚で傲慢だわ」
「相手次第でもあるんじゃない? 連中は、貴女が積み重ねてきた背景を知ろうとしたかしら? 貴女が伝えようとした物事を学び取り、共感なり対論なりができるだけの素養を獲得しようとしてるかしら? 知らぬ存ぜぬ、だが自分は正しいと言い張るだけの愚者に付き合ってたら、貴女のほうが壊れてしまうわよ」
「あら? 心配してくれているの?」
「ええ、とぉっても心配してるわ。折角見付けた上質な獲物なのに、くだらない連中の所為で腐っていくんじゃないかって。ま、そうなったらそうなったで仔猫を殺しやすくなるから構わないのだけど」
「やっぱり、つれない女性だわ」
「壊れ腐る前に堕ちて来るのなら、剣の腕で抱き締めてあげるわよ?」
「お生憎様。貴女のお仲間になる予定は一切無いし、万が一私が壊れたとしても、あの子はそう簡単には殺せない。もしかしたら、私より厄介かも知れないわよ?」
「どうして? 私には、貴女のほうがよほど恐ろしく感じるけど?」
腕の震えを抑えながら数歩分後退る女性に、プリシラは更に目を細め、明るく無邪気な笑みを満面に咲かせた。
「だってあの子は、この私が認めた唯一の後継者ですもの。私より劣る人間なんかに害せる訳が無いじゃない」
見た者の毒気を抜く幸せそうな温かい笑顔。
たんぽぽの綿毛よろしく散っていく緊張感。
目には映らない色とりどりの花が大乱舞する中、然り気無く貶められた女性は特大の苦虫を噛み潰し、肺の換気でもしたいのかと思うほど深く長い息を吐き出した。
「………………親バカ。」
「失礼ね! 私に出産経験は無いわ! せめて姉バカと言って頂戴!」
「どっちでも同じでしょ」
「全然違うわ! 心持ちが全然違うのよ!」
「心底どうでもいいわよ、そんなの」
「私が納得できないの!」
「いいから、その手。さっさと消毒しなさいよ。今晩だけで何人斬ったと思ってるの?」
「さあ? 軽
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