純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 19
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世話もよろしくね。先生」
「面倒臭い種ばっかり」
「でも、これはこれで面白いでしょう?」
「まぁね。案外使えるのも多いし、そこそこ退屈凌ぎにはなってるわ。でも」
突然、ヒュン! と風を裂いた刃がプリシラの横顔に迫り、肌に接触する直前で停止した。
こめかみから流れる金の髪が僅かに揺れて、数本はらりと床へ落ちる。
「私の本命は貴女よ? プリシラ次期大司教サマ」
少しでも突けば傷が付く位置で光る切っ先。
それでも女性二人はクァイエットに目を向けたまま、薄っすらと微笑んでいる。
「何が気に入らなかったのか知らないけど、外までしっかり漏れてたわよ? 思わず嬉しくなって様子を見に来たくなるくらい、はっきりと。ねぇ、もうそろそろ諦めたらどう? 諦めて認めて、此方へ堕ちていらっしゃいな。そうしたらお望み通り、仔猫と一緒に殺してあげるから」
「そんな言い方じゃ私がおまけみたいだわ。本命と言っておいて、つれない女性ね」
「ふふ。安心して。貴女の先に仔猫が待っているのだから、間違い無く貴女が私の本命よ。現状はね。だから、我慢してないで、とっとと認めてしまいなさい。貴女の怒りは人間として正しい物。無理に押し込めたり否定したりする必要なんか無いの。そうでしょう? プリシラ次期大司教サマ」
待ちに待った食事を口に運ぶ寸前のような悦びに歪んだ顔で、自らの唇を舐める女性。
ふと目蓋を半分落としたプリシラは
「クロちゃんの件があったからとは言え、あの程度でぐらつくなんて……私もまだまだねぇ。でも、残念」
突き付けられている刃を右手で鷲掴み、乱暴に払い除けた。
「私は今でも私よ。この先も、私は私を保ち続ける。貴女の刃があの子に届く日は来ない。この命が尽きるまで永遠に、ね」
「……っ」
いとも容易く素手で払われた剣に少しだけ目を丸くした女性が、自分を真っ直ぐに見下ろす力強く揺るぎない藍色の眼差しを捉え、両肩を微かに震わせる。
プリシラが放つ圧倒的な存在感が、暗殺者の業が染み付いている体を勝手に畏縮させる。
それすらも愉悦だと言わんばかりの表情で息を呑み、震えている。
「……あは。そう強がらなくても良いのに。貴女は智を尽くして社会をより良くしようとしてるのに、人間は利己的な理由で貴女を否定する。自分自身の都合でしか動こうとしないばかりか、誰かの為を思っての計らいを陸な知識も根拠も無く無駄なモノと非難して邪魔ばかりしてくる。そんなの、怒って当たり前じゃない。怒らないほうがどうかしてるわ」
「初めから知を蓄えて生まれてくる人間はいない。経験が識を重ね、視野と理解を拡げていくの。理解できない物事に慎重な姿勢を取るのは生物の本能。私が最善だと判断しても、そう見えない人が中には居
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