【日に影る邂逅】
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襟元を正して凛とした表情を見せる。
「私は……ナルト君の傍に居られれば、それだけで──。けどもう一人の“私”は、その対象がネジ兄さんなのね」
「うん、そうだよ。傍に居るだけじゃない……離れていても、心が通じ合う……そんな関係でいたいの」
「そう……。私も、そう考えられたら良かったんだけど」
項垂れる歳上側のヒナタにネジは複雑な面持ちで言葉を掛ける。
「……さっきは頬をはたいてしまってすまなかった。こちらの世界のヒナタに文句を言う資格は俺には……俺達にはない。否定する権利もないだろう。それがこちら側のヒナタの、生き様なのだろうから」
「もう、手遅れかもしれない……変えられないかもしれない。それでもこれが私の、生き様……」
「“あなた”が変われなくても、私が変えて行くよ。あなたの、分まで」
「……ありがとう、もう一人の、私」
ネジとヒナタの二人の意識は、そこで急速に遠のいてゆく。
『さあ、元の居場所へ還って。そして……あなた達の未来を、生きて───』
「──?ネジ君、ヒナタさん…! やっと、意識が戻りましたね、良かった……」
意識を戻すと、医療忍者のシズネの声がした。
ネジとヒナタは奇跡的に一命を取り留め、大戦後同じ病室に長い間寝かされていたようだった。二人はおもむろに上体を起こして顔を見合わせ、互いに笑みを交わした。
──これで、良かったのだと。
《終》
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