222部分:オレンジは花の香りその五
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オレンジは花の香りその五
「飲むしかない?やっぱり」
「じゃあやっぱりうち来るの?」
「それともうちか?」
明日夢と佐々がそれぞれ彼の言葉に応えてきた。
「何ならケーキ。カビ生える前に皆にどんどん食べて欲しいし」
「梅雨の在庫一掃やりたかったしな」
「っていうかそれ御前等の都合がかなり入ってないか?」
正道がその二人に突っ込みを入れた。
「それってよ」
「それは気のせいだから」
「気にするな」
しかし二人はあくまでこう強弁する。
「うちのケーキはいつも新鮮よ」
「こっちのサンドイッチバイキングもな」
「ケーキにサンドイッチかよ」
「どっちもこの季節色々と心配なのじゃない」
皆流石にもう二人の魂胆は見抜いていた。
「それ処分したくてそれかよ」
「何かあこぎね」
「だからそれは心の錯覚だから」
「うちの店は食中毒なんてあったことねえぞ」
二人の強弁は続く。
「そうそう、どうせだからね」
「今日はスタープラチナと猛虎堂の共同パーティーでどうだ?」
これまた強引に話を決めてしまった二人だった。
「これならどっちかって迷わないし」
「グッドアイディアだろ」
「要するに在庫一掃したいんだな」
正道は二人の本音を突いた。
「違うか?」
「さて、それはどうかしら」
「知らないな」
そして二人もそれについてはとぼける。しかしそれは事実を隠蔽したうえでそれを行うという甚だ胡散臭いものであった。はっきりとばれていた。
「ねえ。濡れ衣よね」
「そうだ、北乃の言う通りだぜ」
それでも二人は尚も芝居を続けるのだった。ばれていてもそれでもだった。
「私達はここは親睦を深める為にやろうっていうのよ」
「いい考えだろ?」
「あんた達ばれてもそれでもやるのね」
咲はクールにそんな二人に突っ込みを入れた。
「っていうかそんなに今料理の在庫心配なの」
「全然、大丈夫よ」
「猛虎堂を舐めるなよ」
やはりここでも図々しい演技を続ける。
「もう何時でも新鮮だから」
「安心してくれよ」
「で、どうするの?」
咲はそんな二人の臭い芝居をよそに皆に問うた。
「少年と成政君の協同パーティー行く?どうするの?」
「その前に柳本さん」
桐生は彼女の問いに答える前にその彼女に問うてきた。
「一つ聞きたいことがあるんだけれど」
「何?」
「その成政って何?」
彼が問うのはそのことだった。
「何でそこでその名前が出るのだ?」
「だって佐々っていうじゃない」
彼女が言うのは佐々のことだった。
「だからよ。佐々成政」
「戦国時代の武将だったよね」
竹山はそれが誰なのかすぐにわかった。
「確か」
「ええ。その人」
咲は今度は竹山のその言葉に対して頷いてみせた。
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