第一章
[2]次話
沼地での死闘
白公平と蒲来虎の二人は今は白の神託で中国浙江省杭州郊外に来ていた、白はそこに来て蒲にこんなことを言った。
「ここはやっぱりな」
「水が多いな」
「北馬南船って言うけどな」
中国の地形はこの時代でもよくこう言われる、北方は平地であるので馬で行き来するのがよく南は川が多いので船で行き来するのがいいというのだ。
「この浙江省はな」
「その中心でな」
「杭州もな」
浙江省の中のこの地もというのだ。
「この通りな」
「川に水路がな」
「ほんまに多くてな」
それでというのだ。
「行き来するんやったらや」
「沼地やな」
「そや、それでな」
「ここはやな」
「多分拙者の神託もな」
白は蒲にその話もした。
「水絡みかもな」
「こうした場所やからやな」
「そや」
それでというのだ。
「そのことも考えてな」
「それでやな」
「神託に向かおうな」
「そうしてくか」
「ここはな」
こうした話をしてだった、そのうえで。
二人は杭州の冒険者ギルドに行ってそのうえで神託と思われる依頼を探した、するとその依頼はというと。
沼に多くのモンスターが出て来てその退治とだった。
若い蛙人の男からの依頼だった、この男の名前を林伯仲といった。二人はその依頼の報酬は安いので殆どの者が受けていなかったがそこに神託を感じて受けた。それで男の家に行くと杭州のごく普通の民家だった。
そこに入ると男はすぐに二人に言った。
「妹が行方不明で」
「それでやな」
「妹さんを探して欲しいんやな」
「ですが僕はです」
男は二人に茶を振る舞いつつ苦い顔で話した。
「只の饅頭売りで」
「お金はない」
「そうやっていうんやな」
「妹と二人で食べていけていますが」
それでもというのだ。
「それがです」
「やっとか」
「そうした状況か」
「ですから報酬は」
それはとだ、男は申し訳ない顔で二人に話した。
「どうしてもです」
「なくて」
「それで、ですね」
「はい、報酬は」
本当にと言うのだった。
「どうしようもありません」
「報酬は別にな」
これといってとだ、白は男に言った。
「ええ」
「そうですか」
「こうしたものは貰うのが決まりやけどな」
冒険者はギルドの依頼を達成した際の報酬で生きている、だからこれを貰わずしてどうしようもないのだ。
だからだ、今は冒険者となっている二人もなのだ。
「それでもな」
「安くてもですか」
「ええわ」
男にこう言って安心させるのだった。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ