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八条学園騒動記
第五百十話 マルタ騎士団その十一

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「いや、凄い名作だな」
「そうなのね、ただね」
「ただ。何だ」
「いや、歌劇でもそうした人いるわよ」
 ナンシーは洪童に指摘して話した。
「モーツァルトのね」
「ああ、ドンん=ジョヴァンニか」
「ええ、あの人なんてそれこそ」
「好色一代男並か」
「カタログの歌なんてね」
 主人公ドン=ジョヴァンニの従者であるレポレオが歌う歌だ、この作品はこの従者の出来も作品の出来に大きく関係する。
「どれだけっていう位じゃない」
「俺はあの作品歌劇部の舞台で観てな」
「知ってるのね」
「大学の方のな」
 そちらの歌劇部のというのだ。
「それで知ってたけれどな」
「あの人も凄いでしょ」
「ああ」
 洪童もその通りだと答えた。
「まさにあっちの好色一代男だな」
「そうよね」
「ただ。男にはな」
「手を出していないのね」
「好色一代男はそちらもだからな」
 それも六百数十人という途方もない数だ、女に至っては三千何百人というからこれまたとんでもない数だ。
「その分な」
「凄いっていうのね」
「俺はそっちの趣味はないけれどな」
「この辺り当時の日本とエウロパの違いね」
 即ち欧州のというのだ。
「あっちは昔同性愛厳禁だったから」
「死刑もあったよな」
「ええ、オスカー=ワイルド捕まったし」
 そして入獄されてすっかりしょげかえってしまった。
「これが同じ時代の日本だとね」
「絶対に捕まらないな」
「そうよね」
「法律でも宗教でもよかったからな」
「日本で同性愛で捕まった人いないのよね」
「一人もな」
 この時代に至るまでだ。
「いないからな」
「だから好色一代男もね」
「捕まらないどころかな」
「普通に書かれていたのね」
「数は普通じゃないがな」
 同性愛も楽しむ男とだけ書かれていたのだ。
「むしろそちらもというのがな」
「当時の日本ではよかったのね」
「懐が広いと思われてな」
「器がなのね」
「そうらしいな、ただ俺はまた言うけれどな」
「同性愛については」
「興味がないんだよ」
 そうだというのだ。
「特に髭生やして身体中毛だらけで筋肉質のおっさんにはな」
「そんな人との同性愛ってあるの?」
「あるみたいだぞ」
「美少年だけじゃないの」
「そうした漫画もあるらしいな」
「ううん、筋肉質で髭のおじさん同士の絡みね」
「全身毛だらけのな」
 洪童はこのことも言い加えた。
「そうしたな」
「中々以上にハードな世界でしょうね」
「性別違う人の好みも色々だろ」
「人によってね」
「俺は清純派アイドル好きなんだよ」
 そうした感じの女の子がというのだ。
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