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レーヴァティン
第百話 北部統一その十一

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「奴隷いないわね」
「そういえばそうだよな」
 久志も言われて気付いた。
「秘かに人身売買やってる悪党はいるけれどな」
「そんな外道は何処でもいるわね」
「捕まえ次第死刑にしてるけれどな」
 それも八つ裂きや車輪刑といった極刑にして魂も消し去っている、久志達も悪党に対しては一切容赦しない。
「奴隷制度自体はないよな」
「こうした世界だとよくあるけれどね」
「ああ、どの宗教でも禁じてるしな」
「法律でもね」
「この世界のモラルみたいよ」
 ここで話したのは夕子だった。
「かつてこの世界全体を収めていた人が決めたらしくて」
「今は海に沈んでる世界もか」
「全てを治めていた皇帝がいたらしくて」
「その皇帝さんがか」
「そう、全ての宗教を認めると共に」
 それと共にというのだ。
「奴隷制度もね」
「廃止してか」
「それでないみたいよ」
「この島でもか」
「どうやらね」
「そうか、まあ奴隷っていうのはな」
 久志も奴隷については知っている、それでこう言うのだった。
「実際は高価な財産でな」
「無下に扱う人もいなかったわよ」
「そうそう、だったよな」
「私は獣使いだから言うけれど」
 夕子は自分の職業のことからも話した。
「獣もね」
「高価だよな」
「一匹使いこなすのに苦労するのよ」
「それでか」
「正直復活させるにもお金かかるし」
 このこともあってというのだ。
「だからね」
「一匹も死なせたくないか」
「絶対にね」
 それはというのだ。
「何があってもね」
「そうだよな」
「それで奴隷もよ」
「実際にはな」
「古代ギリシアでもローマでもね」
「高価な財産でな」
「粗末に扱えなかったのよ」
 貴重な財産を粗末に使う者は愚か者であるということだ、もっともスパルタは市民の試練として殺させたはいたがだ。
「実際はね、そしてこれはね」
「何処の奴隷制があった国でもか」
「おおよそ同じよ、ちなみに日本ではもうかなり早くからなくなっていたわ」
 被差別階級は存在した、だが奴隷というものが制度として存在しなかったことは事実だ。そして奇妙なことに奴隷を例えにダしたがって社畜や格差社会を言う人は究極の格差社会北朝鮮を好きであったりする。
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