第二章
]
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とはない。」
そう言って苦笑して荷台へと乗り込むと、そのままルーファスに出るよう伝えた。
この宿の主は後にこの薬を広め、町全体が薬師の町として栄えることとなる。恐らく、マルクアーンはこれさえ視野に入れてレシピを創造したに違いない。
話しを戻そう。ルーファスらはその魔動車でそのまま町を後にした。
先を明るく照らす光源もあるそれは、他者から見れば実に奇抜に見えるが、その力は並外れていた。馬のように気儘ではなく、速さも維持した上で道から逸れることもない。
ただ…力を注いでそれらを操作する魔術師が大変だ…と言うことを除いては。
四人は先を急ぎ、ものの数時間で隣町を通り抜け、朝になる頃には国境の街シエルへと入っていた。
しかしその時、街に入るなり衛兵に止められ、乗り物…魔動車についてかなり問い詰められてしまった。
そこでマルクアーンが出て行き、兵たちへと口を開いた。これは自分がさせたことであり、自分が考えて作らせた魔道具だ…と。
すると兵たちはマルクアーンに頭を垂れて畏まり、そのまま街へと入ることが出来たのであった。
「クラウェンに行く前からこれじゃあ…。」
ルーファスもさすがに苦笑する他なく、ウイツもヴィルベルトも同様であった。
街中に入って暫くすると、四人はとある張り紙を見て衝撃を受けることになった。それは単なる広告などではなく、緊急を報せるものであった。
「…クラウェン封鎖だと!?」
余りの事に張り紙をしてあった店の者に話を聞くと、一昨日の昼過ぎには既に門は閉されており、この街へと早馬で戻って来た商人が街長へとそれを話したらしい。それが今しがたのことであり、張り紙も慌てて張り出されたそうである。
「理由は分からないそうですよ?何でも、門番も守衛も居なかったそうですから。」
それを聞き、四人は直感した。
ー 気付かれた…! ー
相手は一筋縄ではいかない…それは覚悟の上だが…あと一歩でこれでは意味がない。
「シヴィル、これじゃあ先に進めねぇが…?」
「お前に言われずとも分かっておるわ。だから先程から思い出そうとしておるのじゃ!」
「…何を?」
皆は不思議そうに首を傾げる。
クラウェンの封鎖を知らされた時から、マルクアーンは何やら一人で考え込んでいる様子だったが…一体何を思い出そうとしているのかは、三人の魔術師には知る由もない。その上、徐々に苛立ち始めたマルクアーンに、ウイツもヴィルベルトも冷々している。
尤も、ルーファスだけは飄々としてはいたが…。
「思い出した!」
暫くしてマルクアーンはそう言って手を叩いた。
「で、何を?」
ルーファスは待ち草臥れたと言わんばかりに、頬杖をついて返した。そんなルーファスにマルクアーンは些か眉をピクリとさせたが、咳払いを一つしてから
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ