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魔術師ルー&ヴィー
第二章
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とはない。」
 そう言って苦笑して荷台へと乗り込むと、そのままルーファスに出るよう伝えた。
 この宿の主は後にこの薬を広め、町全体が薬師の町として栄えることとなる。恐らく、マルクアーンはこれさえ視野に入れてレシピを創造したに違いない。
 話しを戻そう。ルーファスらはその魔動車でそのまま町を後にした。
 先を明るく照らす光源もあるそれは、他者から見れば実に奇抜に見えるが、その力は並外れていた。馬のように気儘ではなく、速さも維持した上で道から逸れることもない。
 ただ…力を注いでそれらを操作する魔術師が大変だ…と言うことを除いては。
 四人は先を急ぎ、ものの数時間で隣町を通り抜け、朝になる頃には国境の街シエルへと入っていた。
 しかしその時、街に入るなり衛兵に止められ、乗り物…魔動車についてかなり問い詰められてしまった。
 そこでマルクアーンが出て行き、兵たちへと口を開いた。これは自分がさせたことであり、自分が考えて作らせた魔道具だ…と。
 すると兵たちはマルクアーンに頭を垂れて畏まり、そのまま街へと入ることが出来たのであった。
「クラウェンに行く前からこれじゃあ…。」
 ルーファスもさすがに苦笑する他なく、ウイツもヴィルベルトも同様であった。
 街中に入って暫くすると、四人はとある張り紙を見て衝撃を受けることになった。それは単なる広告などではなく、緊急を報せるものであった。
「…クラウェン封鎖だと!?」
 余りの事に張り紙をしてあった店の者に話を聞くと、一昨日の昼過ぎには既に門は閉されており、この街へと早馬で戻って来た商人が街長へとそれを話したらしい。それが今しがたのことであり、張り紙も慌てて張り出されたそうである。
「理由は分からないそうですよ?何でも、門番も守衛も居なかったそうですから。」
 それを聞き、四人は直感した。

ー 気付かれた…! ー

 相手は一筋縄ではいかない…それは覚悟の上だが…あと一歩でこれでは意味がない。
「シヴィル、これじゃあ先に進めねぇが…?」
「お前に言われずとも分かっておるわ。だから先程から思い出そうとしておるのじゃ!」
「…何を?」
 皆は不思議そうに首を傾げる。
 クラウェンの封鎖を知らされた時から、マルクアーンは何やら一人で考え込んでいる様子だったが…一体何を思い出そうとしているのかは、三人の魔術師には知る由もない。その上、徐々に苛立ち始めたマルクアーンに、ウイツもヴィルベルトも冷々している。
 尤も、ルーファスだけは飄々としてはいたが…。
「思い出した!」
 暫くしてマルクアーンはそう言って手を叩いた。
「で、何を?」
 ルーファスは待ち草臥れたと言わんばかりに、頬杖をついて返した。そんなルーファスにマルクアーンは些か眉をピクリとさせたが、咳払いを一つしてから
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