第二章
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ばせてきたのであった。
本当なら…十六になった際、第七修に入っても良かったのであるが、大陸に不穏な空気が漂い始めたために中止したのである。
「師匠、これでどうですか?」
ルーファスが予め用意しておいた土・木・水・鉄・火・石でヴィルベルトが創り上げたものは…まぁ、格好は兎も角としても、非常に効率的な物であった。
「良く出来ている。」
弟子の創り上げたものを見てルーファスは満足そうに頷き、そうして彼の創り出したそれに力を吹き込んだ。
「永久の息吹、そは力なり!」
ルーファスがそう言った刹那、それは今にも動き出さんと音を立て始めた。
それを見て、ヴィルベルトは師の力…その魔術と行使の力を不思議に思う。いや…ずっと不思議に感じていると言った方が良いだろうか…。
ルーファスの詠唱は本来のそれとは違い過ぎている。あのコアイギスでさえ、ここまで単略化して魔術を発動出来ないのだ。元が四、五節程度ならば一言で済むが、それ以上になるとやはりそれ相応の長さとなる。
今ルーファスが行使した魔術は"力"を加えるものだが、元来の呪文は二十節から成り立っている。それを十分の一の二節で行使するなど、どんな魔術師にも出来はしない。
そして何より、神聖術者の聖文までをも魔術に組み込むことが出来ることをヴィルベルトは知っていた。
だが、今に至ってもなお、魔術師は神聖術を誰一人行使出来ずにいる。伝説のクラウスでさえ、最期まで魔術と神聖術の融合を成し得なかったのだ…。
ー 師は一体…何者か…? ー
ヴィルベルトは時折、ルーファスについてそう考えることがある。この時もそうであった。
しかし、それを考えたとて詮ないと…いつもの様に考えることを放棄した。
さて、ルーファスとヴィルベルトは、創り上げたそれを"魔動車"と名付けて馬の代わりに付け替えると、荷台に荷を積み始めた。
マルクアーンもウイツも荷物を纏めて来ており、四人は直ぐにでも出発出来る準備を整えた。
「もう行かれるんですかい?」
扉が開き、そこから宿の主が顔を出して言った。
「ああ。前払いしてある代価はそのまま納めてくれ。先を急がねばならなくなったのでな。」
宿の主にマルクアーンがそう言うと、彼は「いけませんや。」と言って前払いしてある宿代から使用分を差し引いてマルクアーンへと差し出した。
「この世代にあって正しき者、お前にはこれをやろう。いずれ役に立つはずじゃ。」
それはマルクアーンがこの地で取れる薬草から考案した薬のレシピが書かれた羊皮紙であった。
風邪薬、傷薬、体力回復剤の三種が書かれており、そのどれもが庶民にも手の届く薬となる様にレシピが細やかに書かれていたため、宿の主は目を丸くした。
「もしや…貴女様は…。」
「何、若作りの婆なだけだ。気にするこ
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