第二章
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以前、ルーファスとヴィルベルト、そしてウイツの三人で、ミストデモンの器を創ったことがあったが、マルクアーンにはそれ以前から既に、それが可能であると言うことを知っていた。
「遥か古の魔術に…あのウッドドールが出来るよりも前だが、想像したものを具現化する魔術はあったのだ。」
「ですが…現在の魔術では、たとえ動かせたとしても、直ぐに朽ちてしまうのでは?」
次はヴィルベルトが問う。すると、それにはルーファスが返した。
「そりゃ、魔力を補填しなけりゃ朽ちちまう。要は、魔力を動力源として注ぎ続けりゃ何てこたぁねぇよ。」
「・・・。」
二人は再び唖然として黙した。
確かに…その理論であれば動かし続けることは可能である。が、それ…即ち魔力を供給し続ける魔術師が必要となる訳である。
と言うことは…。
「ここに三人も魔術師が居るんだ。二日もしねぇうちに着くんじゃねぇか?」
「・・・!」
今度は開いた口が塞がらない…。馬を置いて行き、自分達が馬になるようなものである。
まぁ、速くはなるだろうが…。
尤も、ここで反論しようとも無駄なことは二人には分かっていた。そのため、ヴィルベルトは一つ提案をした。
「師匠。馬は造形が複雑で、動かすにはかなり練習を要するかと思います。」
「そうだな。」
「それでですが…どうせ引かせるのだったら、馬車本体の様に箱型…車の様にしてみたらどうでしょう?」
「う〜ん…そうだな。ヴィー、お前ならどうする?」
その師の問に、ヴィルベルトは直に返した。
「馬車より小さく創り、一人が乗り込める様にします。その中で操作すれば、魔力を維持しながら行けるかと。」
ヴィルベルトがそこまで言うと、ルーファスは「よし、そうしよう。」と言って、何も返すことなく彼の案を採用した。それを聞いていたマルクアーンも、それに同意するように頷いた。
これはヴィルベルトを一人前と認めた証でもあった。半人前であればあれこれと聞くものであるが、ヴィルベルトならば大丈夫だと確信しているからこそ、ルーファスは何も問う必要はないと判断したのである。
当のヴィルベルトは、余りにもトントン拍子に案が採用されたため些か呆けていたが、そんな彼にルーファスは苦笑しながら言った。
「何ボサっとしてんだよ。さっさと創るぞ。」
「あ…はい!」
そうして二人は連れ立って外へと出たのであった。
実を言えば、車型にすることはルーファスも考えていた。だが、恐らくはヴィルベルトも考案するであろうことは想像出来たのである。
自分の弟子だから…いや、ヴィルベルトだからこうしたことを思い付き、尚且つもっと多くのアイデアを出すのではないかと期待していた。
それでも未だ十七歳…故に、ルーファスは彼を一人で旅に出す訳にはいかないと考え、こうして傍で学
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