第二章
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行させていては追いつかない。
それが故に、ルーファスは旅を選んだのであった。
「おめでとう。」
ウイツは店の主人から外套を受け取ると、そう言ってヴィルベルトへと着せた。
しかし、当のヴィルベルトは嬉しい反面、不安を抱えていた。
「ウイツさん…第六修修了を認められたってことは…」
「そうだね。ルーファスと向かい合って戦うことになる。でも、これは全ての魔術師が経験するものなんだよ。勿論、私もルーファスも通った道だ。」
「どうでしたか?」
「ルーも私もコテンパンに伸されたさ。でもね、それで魔術と言うものの大きさが分かった気がする。まぁ、今日明日にって訳じゃないから。この戦いが終わった後になるだろうね。」
「分かりました。」
ヴィルベルトはウイツへとそう返すと、その真新しい外套を嬉しそうに撫でたのであった。
一方その頃、宿の一室ではマルクアーンとルーファスが旅程について話し合っていた。
それと言うのも、リュヴェシュタン側からもゾンネンクラール側からも全く連絡が入って来ず、万が一にも対応するには時間を短縮し、一刻も早くゾンネンクラールへと入る必要があったからである。
「妖魔を召喚させる陣を各国に伝えて探させたは良いが…これだけではないからのぅ…。あれが次に何を仕掛けてくるかは予想もつかぬ…。」
「それ位は理解してる。陣をあれだけ正確に描け、それを一斉に発動させた女だ。生半可な対処じゃ役に立たねぇかんな…。」
「そうだな…それ故に急ぐ必要がある。次はもっと大きな事を仕出かす気であろうからな。今回は妖魔とは言っても下級妖魔じゃったが…上級ともなればこれでは済まぬ。」
「ああ。恐らく、あの"グール"の封を解いたのもあの女だろう。封はかなり劣化していた筈…遠隔と解呪の魔術を施せば、いつでも破ることは出来るだろうしな。」
二人は思案する。出来得る限り急ぎクラウェンに入らねば、アリアの居場所を突き止める前に気付かれてしまうだろう。そうなれば、彼女は早々に次の手を打つに違いないのだ。
そこで、二人は国境都市シエルまでの二つの街を素通りして行くことにした。
それを帰ってきたヴィルベルトとウイツに話すと、二人は訝しげに首を傾げた。
「ルーファス、馬車馬はどうするんだ?私達は良いにしても、さすがに馬は無理だろ?」
そうウイツが言うと、隣でヴィルベルトも頷いている。
確かに、彼等は多少無理をしても平気であろうが、馬は交換なしでは休ませる必要がある。それをどうするつもりなのかというウイツの疑問も尤もな話しと言えよう。
だがその問に、マルクアーンからとんでもない案が出された。
「なに、四大元素の魔術で、馬に代わるものを創れば良いのだ。それに馬車を引かせれば問題あるまい。」
「・・・。」
その案に、二人は唖然とした。
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