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ある晴れた日に
217部分:思いも寄らぬこの喜びその十七
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思いも寄らぬこの喜びその十七

「いい数字選んでるね」
「そうか」
 なお西武ファンの恵美は十八番で茜は六番だった。彼女達も趣味が出ている。
 正道はさらに竹山と話をしていた。その数字のことだ。
「この数字見てると安心する。そして頑張ろうって思えるんだよ」
「阪神ファンにとっては絶対の数字だよね」
「ああ。だから好きだ」
 まさに伝説の数字なのだった。
「しかし北乃も同じ十一なんだよな」
「悪い?」
 不機嫌そのものの顔で正道に問い返してきた。
「いい数字って今言ったじゃない」
「しかしそっちの十一番は」
「何よ」
「少年、その十一番何本ホームラン打たれたのよ」
 凛が怪訝な顔になって明日夢に問うた。
「斉藤隆っていったら物凄い花火職人だったじゃない」
「気のせいよ」
 しかし明日夢はこう強弁する。
「日本シリーズじゃ見事完封してるわよ」
「そりゃ一回はするでしょ」
「ねえ」
 皆それは認めはするがかなり辛口であった。
「問題はどれだけホームラン打たれたかだけれど」
「しょっちゅうだったじゃない」
「うっ・・・・・・」
 事実なので言い返せない明日夢だった。
「それはまあそうだけれど」
「だから傾いてるのよ」
 咲がここでまた明日夢に言った。
「少年はね。まあそこんところがいいんだけれど」
「いいの」
「だから。女は傾いて幾らかよ」
 またこう言うのだった。
「咲なんか真面目だけれどね」
「そうか?」
「今の言葉は嘘だろ」
 皆それは全力で否定した。
「真面目な人間が今こうやって酒飲むかよ」
「大体そのティーシャツの文字だってよ」
 見れば咲がブラウスの下に着ているティーシャツの文字は物凄いものであった。
「『俺のこと好きにならない奴は邪魔なんだよ』って」
「普通そんな文字のシャツ着ねえよ」
「真面目な奴は余計にな」
「だから傾いてるのよ」
 今さっき真面目と自分で言い切ったことは奇麗に忘れている。
「これも傾奇者のうちよ」
「そうかよ。それがかよ」
「全然真面目に見えねえよ、絶対」
「帽子も相変わらずだしよ」
 やはりいつもの野球帽が側に置かれている。今日のは緑だ。
「その帽子何だよ」
「文字はエヌとエイチか?そりゃ」
「これ南海ホークスの帽子よ」
 その帽子を手に取って皆に見せながら話す咲だった。
「結構いいでしょ」
「いいけれど今のおめえのそのオレンジのブラウスと黒いシャツには合わねえよ」
「その真っ赤なジーンズにもな」
 相変わらずお世辞にもファッションセンスはいいとは言えないのだった。
「色彩滅茶苦茶じゃねえか」
「何処をどうやったらそんな組み合わせになるんだよ」
 皆容赦なく言う。当人は平気であるが。
「けれど。よか
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