第百三十一話
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第百三十一話 夜の花
カーミラは美女に声を穏やかかつ優雅に声をかけた、近くで見ると切れ長の黒い目にピンクのルージュが映えている。
「どうしたのかしら」
「何も」
「何もなくてその酔い方はないわ」
こう美女に言うのだった。
「決してね」
「本当に何も」
「真実を言うのよ」
カーミラは美女の目を見た、そしてだった。
その目を赤く光らせた、そうして魅了して真実を語らせた。
「それで何かしら」
「実は」
魅了されてだ、美女はカーミラに話した。
「彼氏が浮気をしていて」
「よくある話ね」
「それで別れて」
「わかったわ、傷付いた心をなのね」
「明日お仕事もないから」
このこともあってというのだ。
「もう忘れる為に」
「今まで飲んでいたのね」
「ええ」
その泥酔しきり今にも意識を失いそうな顔で言うのだった。
「そうよ」
「わかったわ」
カーミラは美女の話を聞いて述べた、ここで黒髪に触れたが長く絹の様なツヤと手触りだ。
「全てね」
「もうどうなっても」
「失恋は辛いわ」
カーミラは美女をその右手で抱いてこうも言った。
「心が散り散りになる位に」
「もう何処までも」
「けれど」
「けれど?」
「それで絶望する必要はないわ」
それはと言うのだった。
「決してね」
「そう思っていたけれど」
「すぐに忘れることよ」
「そう思っても」
「飲んでもなのね」
「忘れられなくて」
それでというのだ。
「もう幾ら飲んでも」
「飲むのはこれ位にした方がいいわ」
ここでだ、カーミラは。
その手にあるものを出した、それはカードだった。
そのカードを手にだ、美女に対して囁いた。そうして彼女を連れて使い魔達を隠れさせたままある場所に向かうのだった。
第百三十一話 完
2019・2・13
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