欠ける無限、禁忌の術
[13/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らも、厳粛な面持ちで了解した。彼らが動き出したのを尻目に、士郎は沖田はどうなっているかを確かめようとして。爆発的に高まる魔力を感じ眼を剥いた。
見れば沖田が宝具を使っている。――それはいい。新撰組を召喚する彼女の切り札は、対人戦で極めて効果の高い宝具だ。それを使ってもいいと伝えている。しかしそれだけではない。フィン・マックールもまた宝具を一拍の間の後に開帳していたのだ。
それは対軍宝具。穂先より迸る瀑布の如き水圧の奔流が、召喚された直後の新撰組を襲っていた。一撃でその半数を消し飛ばし、更に放射をしている。両手で腰だめに構えた槍を左右に素早く動かし、レーザーのように放たれ続ける神殺しの槍の力。咄嗟に回避できたのは僅かに数人。残るは近藤勇、永倉新八、斎藤一のみ。
沖田は愕然としていた。彼女もまたフィンの宝具を回避するも、自身のかけがえのない仲間達が消し飛ばされていく光景に堪らず駆け出していた。縮地で跳び一直線に落としていた刀の許に向かい、それを拾い上げて対軍宝具を停止させようと、フィンに斬りかかろうとする。しかし彼女が刀の許に向かおうとするのを見抜いていたディルムッドが立ちはだかった。
先回りしていたディルムッドが沖田を阻む。怒号を発した。其処を退けッ! 激していようとその剣の冴えに翳りはない。怒濤の如く剣閃を閃かし――その剣が不意に鈍った。
ゴ、ふ――呻き、口から微かに血を溢しながら、沖田の体が崩れ落ちる。突然片膝をついた沖田に、ディルムッドは困惑するも。直ぐに気を取り直して隙だらけの沖田を突き殺すだろう。
沖田が吐血する前兆を見て取った士郎は。
――どうする?
引き伸ばされた主観時間の中、思考を走らせる。
――どうする?
宝具を投影する。例えば螺旋剣なり、赤原猟犬なりを。駄目だ、それでは溜めが間に合わない。断行しても魔力の高まりに気づいたフィンが槍の穂先を士郎に向けてくるだろう。生き残りの新撰組の距離はフィンからは遠いのだ。沖田のような縮地が使えるならとっくの昔に使っているはず。フィンの槍の穂先が向けられたら士郎が死ぬ。
――どうする?
無銘の剣なら投影が間に合う。だがそんなものではディルムッドを止められない。双剣銃での弾丸でも結果は同じだ。制圧力が圧倒的に足りない。
――どうする?
必要とされるのは必殺の火力。同時に敵に魔力の発動を感知させぬ隠密性。そんなものがあるのか?
ある。
「I am the bone of my sword.」
無意識に、しかし意識的に呪文を呟く。
霊基が嘲るように言っている、よく狙え――使い方はこうだ――
それは刹那の間にも満たない。沖田
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ