欠ける無限、禁忌の術
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剛杵《ヴァジュラ》。真名解放する必要のない、投げつけるだけで効力を発揮する神秘爆弾。
炸裂するや爆風が撒き散らされる。フィンらは瞬時に回避するも、沖田の宝具使用の間は稼げた。
爆風の中、淡い燐光が舞い散り、現れるは日ノ本に広く知られる新撰組の面々。彼女の呼び掛けに応じた剣豪集団。中には沖田と同じく対人魔剣の域に至った達人もいる。
近藤勇がいた。永倉新八がいた。斎藤一がいた。その他、名だたる剣豪がいた。
凄まじい剣気を放つ多数のサーヴァントの連続召喚。それを目にした騎士とその長は瞠目するも――
「皆さん、来てくださり感謝します。さあ、彼奴らを斬り伏せましょう!」
――対多数の戦闘は、フィンの得意とするもの。
そしてフィンは、圧倒的不利に陥る戦局を、ただの一撃で塗り潰す『対軍宝具』を保有している。
「どうやらあちらは、神殺しの魔撃をご所望らしい。ならば受けるがいい――」
呼び覚ますは己の祖である戦神ヌアザの権能『水』の理。槍の穂先より迸る水圧の濁流。
新撰組に近づかれ、その本領を発揮される前にフィンは宝具を開帳した。
「――『無敗の紫靫草』!」
「――停止解凍、全投影連続層写」
無銘の剣弾を多数投影し、虚空から掃射するのを幾度も繰り返していた。戦局を把握しながら剣弾を投影し、銃撃だけでは斃し切れない戦士に剣の掃射を集中して、兵士らの指揮を執る。士郎の負担は大きすぎるほど大きい。しかし絶え間なく発される、自らへの拷問に等しい苦痛を、顔色一つ変える事なく堪える。
兵士の射撃を楯で防いだケルト戦士は殆どが、頭上から降り注ぐ剣弾に串刺しにされる。しかし剣弾や、銃弾の軌道に慣れたのか、剣の雨は楯を翳して凌ぎ、正面の弾丸は剣や槍で切り払う。しかしそうしても犠牲は出るが、ケルト戦士は仲間の屍を越え、消えかけの骸を楯にして、狂奔する汗血馬のように猛然と斬りかかってきた。兵士らに肉薄する頃にはその数を二百五十にまで減らしていたが、白兵戦は敵の領分だ。こちらの出血は抑えられない。士郎は怒号を発した。
「銃を捨てサーベルを抜け! 背後は俺に任せろ、目の前の一人にだけ注力し斬り殺せ!」
了解と決死の覚悟を改めて固めた兵士らが応じた。
ケルト戦士らが躍り掛かってくる。その閧の声を塗り潰すようにして士郎は叫んだ。兵士も叫んだ。雄叫びとなる。馬上から発砲し、双剣銃より弾丸を吐き出す。
血煙が吹き荒んだ。血風が舞う。断末魔が響いた。兵士が一人を倒す間に、三人の犠牲が出る。士郎の援護があっても。士郎はただでさえ過剰に回転していた魔術回路を自滅する勢いで廻した。
常時
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