第一章
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忘れないです
僕が貴方を知ったのは子供の時でした。近鉄バファローズを応援する様になったのは家が近鉄沿線にあった、それだけのことからです。
そうして近鉄という野球チームを応援する様になりましたがやがて貴方のことを知りました。
大毎オリオンズで最初に監督を務められ阪急ブレーブスの監督になられ五度のリーグ優勝を果たされた、この時僕はそうしたことも知りませんでした。
もっと言えば僕が貴方を知った時貴方はもう近鉄にもおられませんでした。既にユニフォームを脱がれていました。
ですが大毎、阪急での貴方のことを知り何よりも近鉄での貴方のことを知りました。多くの選手を鉄拳制裁も辞さない熱く厳しい指導で育てられ一からチームを創り上げ優勝していく。阪急でもそうでしたし近鉄でもそうでしたね。そして当時の近鉄のあの今から見ても恥ずかしい位派手な三色のユニフォームもこれだと決定されたそうですね。
僕はずっと、チームがなくなるまで近鉄が好きでした。弱い時や個人的に貴方と同じだけ尊敬している王貞治さんがダイエーの監督になった時ファンを辞めようかと思ったことがあります。ですがやはり貴方が率いて育てられ創り上げられた近鉄から離れられずチームがなくなるまで近鉄ファンであり続けました。
優勝も最下位もそうでない時も経験しました、近鉄というチームは浮き沈みが激しくよくホームランを打たれ最後まで日本一になることは出来ませんでした、ですが貴方が率いて育てられたチームはどのチームにも負けないまでに魅力的でした、僕は近鉄ファンでいられたことを今でも幸せだったと思っています。そう思えるのは貴方が近鉄の監督としてチームを創り上げられたからです。弱かった近鉄をはじめて優勝させてくれて数々の名勝負を選手の人達と共に戦ってこられた貴方がおられたからこそです。
貴方がこの世を去られた時のことは僕は死んでも忘れないです、貴方が手塩にかけて育てられた人達に見送られ阪急と近鉄の旗に覆われて世を去られた貴方はまさに最高の野球人であり僕が終生敬愛する人でした。
西本幸雄、日本のプロ野球界にこうした人がいたことを僕は世界のどの国の人にも何も隠すことなく話すことが出来ますし貴方と選手の人達のことも同じです。八度の優勝だけでなくその他の多くのこともどんな人にもお話出来ます。
僕は辛い時も近鉄のことを思い出して何とかやってきたこともあります、その近鉄も貴方が創られたものです。
あちらでも野球をされているのでしょうか、貴方が学生時代や戦前の職業野球におられた頃、毎日での現役時代で一緒に野球をしていた人達も多くおられると思いますので楽しく野球をしておられるのならこれ以上の喜びはありません。
西本幸雄さん、近鉄バファローズというチームを創り上げて下さってまことに有り
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