第五章
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「黄君・・・・・・」
「その石は邪な者が持ってはいけない」
巴はここでも言った。
「若しそうしようとすれば報いを受ける」
「それで黄君は」
「今天罰を受けたのです」
「そういうことか」
「はい、ですが貴方を害そうとはしませんでしたね」
思えは医師にこのことを指摘して話した。
「そう言っていましたが」
「道は間違えても義理堅く約束は護ったので」
「そしてお友達はですね」
「わしや他の者には何もしませんでした」
「いいところもあったのですね」
「はい、ですが」
それでもとだ、医師は友の亡骸の傍で項垂れつつ言った。
「こうなっては」
「寿命でなければ生き返りますが」
「そうですね、ですが生き返っても」
「罪は罪なので」
ヤクザ者、そして山賊ともなれば何かしていない筈がない。それでそれには問われると言うのだった。そして実際にだった。
巴と呉が秘かに身分を明かしたうで泰山に入った軍隊によって既に全員倒されていた山賊達は逮捕され頭目だった老人もだった。
逮捕され裁判にかけられた、だがこの山賊達は老人の性格が影響したのか悪事はしていても非道はしていなかったので厳しい刑罰は受けなかった。石は山の頂上に大事に祀られ高位の仙人達に常に護られる様になった。だが。
刑期に入る前に老人は見送りに来た医師にならず者が皇帝になれる筈がない、ならず者の最期はこんなものだと自嘲して言ってだった。彼に別れを告げた。
全てを終えた巴は呉と共に山東料理の店に入った、塩を利かした料理で澄んだスープに海鼠を使った料理、そして鯉を甘酢炒めにしたもの、鶏肉の炒飯にしゃこの素揚げを茶を入れた酒と共に楽しんでいた。その時にだった。
巴の手に何かが宿った、それは。
「羽毛扇ですね」
「ああ、諸葛孔明のな」
彼が持っていたあの扇子だとだ、呉も理解した。
「あれか」
「はい、あの扇子です」
「軍師の自分に相応しい神具やな」
「まさに、戦闘時には硬直化し武器になり」
どういった神具かもだ、巴は話した。
「仰げば風も起こします」
「風もかいな」
「芭蕉扇の様に」
「それもええな」
「そして私自身も」
巴は今度は自分自身のことも話した、呉と共に鯉の甘酢炒めの味を楽しみつつ。塩も利いていて実に美味い。
「神託を適えたので」
「それでやな」
「全体的にチ一回り強くなりました」
「それは何よりやな」
「全て今心の中に言葉が語り掛けてくれています」
何者かのそれがというのだ。
「有り難いことに」
「そうか、ほなあれやな」
「この力を使って」
神具、そして強くなった自分の力をというのだ。
「そうしてです」
「これからやな」
「世界を救う為にさらに励みます」
こう言うのだった、そしてだった。
巴
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